ちょっと家出(!?)

紀伊半島縦断の旅


 


 2月18日の金曜の夜に出発する。まずは神戸へ向かい、阪神高速湾岸線経由で阪和道へ入る。少々風が強く背の高いエブリィには走りづらいが、神戸の夜景を海から眺められるこの道はお気に入りである。助手席に小学生の息子を乗せて、快適に走る。道はすいているし景色は綺麗だし、海上を越えれば風もおさまって順調に紀ノ川サービスエリアに到着する。本日のお宿はここの予定である。駐車場も奥の方に小型専用のスペースがあり、ここならエンジンつけっぱなしの大型車の騒音に悩まされることなく眠れそうだ。さっそく雨戸(銀マット)を閉め、ベッドメイクをして、今日の一日の締めくくりに取りかかる。なんのことはない、今日はここに寝ることに決定したのだから、もうハンドルを握ることもない。ということは飲んでもいいということだ。ザックから焼酎を取り出し、缶詰の焼き鳥やピーナッツで一杯やる。高速道路上で飲むというのはどうも変な感覚だ。息子はヤクルトとジュースでお相伴である。そしてシュラフを被り、その上に毛布を掛けて眠りにつく。

車中で一杯・・・。 車内でくつろぐ。 夜明け



 翌朝、サービスエリアでソバを掻き込んでいざ出発。白浜まで順調に走る。目指すは「崎の湯」である。

 テレビや雑誌でご覧になった方も多いと思うが、岬の突端にある露天風呂で、海に面した温泉である。数台のスペースしかない駐車場に無事停めることができ、300円を払って入れてもらう。受付のおじさんが言うには、つい先ほどまで下の方の露天風呂は海水が入ってたのでぬるいから、手前のほうの熱い方でごゆっくり、ということだった。へぇ〜、噂には聞いてたけど、波しぶきが打ち上げてくるんやね。入ってみると確かにその通りで、わずか数メートル前は海である。何とも素晴らしいロケーションだ。おまけにがら空きで、かなりの長い時間、ほぼ貸し切り状態で堪能することが出来た。写真撮影は禁止されていたので紹介できませんが、あしからず・・・・。

 その後、白良浜の前にある白浜エネルギーランドに行った。今回の旅のなかで、息子が一番楽しみにしているところである。全体として空いてはいたものの、同じぐらいの子供を連れた家族連れが結構多かった。3Dや ジュラシックツアーなどの映像を見た後、トリック迷路やジャングル迷路といったものを楽しんだ。トリック迷路はスタンプラリー形式で、大人でも結構楽しめる。一つだけスタンプのポイントが見つからず、私もつい本気になって息子と必死で探し回っていた。また「ミステリーハウス」や「パラレルワールド」といった、人間の錯覚を体験させる施設は楽しかった。子供連れならオススメである。そして定番の千畳敷や三段壁などを観光し、白浜を後にした。

崎の湯にて あれっ、大きくなった? ちっちゃくなった?
なんじゃこりゃ?  トリック迷路にて ジャングル迷路
白良浜 千畳敷@ 千畳敷A



 白浜から国道311号線を通り、世界遺産である熊野古道の聖域に足を踏み入れる。山また山の奥深い秘境である。もちろん今は立派な道路が山々をぶち抜いているが、かつては難所の連続の旅だったであろうことが想像される。歴史のロマンに浸りながら、川湯温泉を目指した。今回の旅の目的の一つに、この川湯温泉の仙人風呂がある。河原をユンボで掘り起こした温泉が、冬場だけ作られるのだ。そして土曜日にはそこに行灯が灯される・・・・、ということなので行ってみたが、あいにく川の増水のため本日は入れませんとのことだった。なんともまあ、せっかくこれが目的でやってきたのに、運のないことだ。

 だがそんなこともあろうかと下調べの段階で、「わたらせ温泉」というものをチェックしておいた。なんとここには西日本最大の露天風呂があるらしい。日帰りでも宿泊でもいけるようなので、こちらへ行くことにする。トンネルを越えると、川湯とは目と鼻の先である。

 さすがに西日本最大を謳うだけある。どでかい露天風呂のほかにも温度が違う露天風呂がいくつも用意されており、たまたま行った時間帯はガラすきで、これまた白浜の崎の湯同様、十分に堪能することができた。源泉掛け流しだそうだが、お湯は美人湯タイプというか、肌に優しい感じの湯であった。入浴後そこで飯を食って、今夜の宿泊地のキャンプ場「緑の広場」へ行く。といっても同じ温泉内の施設なので、すぐ近くである。キャンプ場で車中泊させてもらえたので、ここを今夜のお宿とする。

 十分に温泉につかり、飯も食って満腹である。心地よい疲労感につつまれ、ここにアルコールが入ったらもう寝るだけである。せっかくだからキャンプ場でお湯を沸かし、息子にはコーンスープ、そして自分には焼酎のお湯割りを作り、またまた缶詰の焼き鳥などをアテに、幸せなひとときを送る。2月だから、そりゃ寒いことは寒いが、このあとは車中で快適な眠りにつく・・・・。おやすみ。



 翌朝は夜明けとともに目が覚める。少々寒いと思ったが、フロントガラスが凍り付いていた。息子はまだスヤスヤと寝ている。まずはモーニングコーヒーである。愛用のポケットコンロで湯を沸かし、凛と引き締まった空気の中、野外でコーヒーを飲む。う〜ん、贅沢なひとときやね。

 朝飯はカップラーメンである。まあシケた朝飯だが、手軽が何より一番だ。朝靄の中、息子とズルズルとラーメンを音を立ててすする。
 出発支度をしてから、もしかしたらという淡い期待を持って、川湯温泉の仙人風呂へ行く。だが期待は見事裏切られ、本日も増水のため入れないとのことであった。見た目には全然増水なんて感じではなく、何らかの別の理由があるのではと思ってしまうほどの川の流れだった・・・・。まあ次回の楽しみにということにしておこう。

2日目の朝 残念・・・・。 湯の峰温泉


 そのかわりと言っては何だが、「湯の峰温泉」へ行くことにする。この温泉は日本最古の温泉ということだが、世界遺産に登録された熊野古道の一部にあり、熊野本宮を参詣する際に、ここで身を清めてからお参りしたそうである。古式に則りここで禊ぎをすることにする(な〜んて深い考えがあってのことではないが・・・・)。わずか250円で源泉掛け流しの本物の温泉に浸かれるのだ。なんて幸せなことか。そういえば今回の温泉巡りはすべて源泉掛け流しである。いやぁ、贅沢やなあ。

 7〜8人が入ればいっぱいというぐらいの古びた檜風呂で、若干熱めの湯は非常に快適である。最初は人が多かったが、すぐに息子と二人の貸し切り状態となり、ぼ〜っと脳みそを真っ白にしながら、ただただ湯に身を任せる・・・・。心の洗濯である。ここまで清めれば、本宮の神様も機嫌良く出迎えてくださるだろう。
 入浴後、何ともいえない足の軽さを感じた。今までいろいろな温泉に入ったが、太腿がこんなに軽く感じられたのは初めてである。さすがは日本最古の世界遺産の温泉、効能バッチリだ。昔の人々も、ここで旅の疲れをいやし、そしてまた、旅を続けたのだろう。藤原定家が熊野詣を詳細に記録しているが、その中には足をくじいたり雨や寒さに苦労したことが刻銘に記されてあったが、きっとこの温泉から元気をもらって旅を続けたことだろうと、勝手な想像を膨らませて喜んでいた。

 身を清めたからには、目指すは熊野本宮である。河原の駐車場にK-1を停めて、参拝する。ここが目指す聖地である。厳かな空気に包まれ、しばし佇む・・・。その後巨大な鳥居が目についたのでそちらへ向かうと、そこはかつてこの本宮が鎮座されていたところで「大斎原(おおゆのはら)」と言うそうだ。「全ての道はここを目指した」と書かれていたが、ここが起点でもあり終着点でもある・・・。遠く遙か昔の様子を想像して楽しむ。

熊野本宮@ 熊野本宮A 熊野古道


 さて、ここからは奈良県の山間部を縦断するコースである。奥深い山々は人を拒み、神々が支配する聖域である・・・と言ってもまったく大げさに聞こえないほど、険しく切り立った山々が続き、その谷底を清い十津川が流れる。以前と比べたらかなり道は良くなったとはいえ、まだまだ難所の連続である。そんな道を、我がエブリィ(K-1)は快適に走る。まるでデンデン虫か亀みたいに、ゆっくりした歩みではあるが、宿を備えた「走る家」だ。こんな旅も楽しい・・・。


 さて、今回の最終目的地「谷瀬の吊り橋」に着く。有名な日本一の吊り橋である。ただそこにいた人が、「今は日本2位だ」と言っていたが、ほんとかどうかは私は知らない。

 怖がる息子を強引に引っ張り出し、なかなか味わえない恐ろしい体験をさせる。私は今までに何度か渡ったことがあるが、何度目の時だったか忘れたが、途中で次から次へととんでもないことばかり想像してしまい、ついに足がすくんで渡れなかったことがある。「もしこの板がわれたら・・・」とか「もし突風がふいたら・・・」とか、物事を悪いように考えたらきりがなく、それがとことんまで極まったら、人間はどうしようもなく固まってしまうのだろう。疑心暗鬼を生ず・・・。あまりに巨大な妄想の鬼は、人間にとって一番恐るべき敵かもしれない。

 そんなことを振り返りながら、こんなときの必勝法「いらんことは考えるな!」を実践する。息子は息子で「下を見たら怖いから、上を見るねん!」と自分に言い聞かせていた。
「う〜ん、いい人生哲学を経験させてる!」と自己満足する。

大斎原@ 大斎原A 熊野本宮のお守りステッカー
谷瀬の吊り橋@ 谷瀬の吊り橋A 谷瀬の吊り橋B


 さて、ここから山また山を抜けて五條を通り、さらに葛城から南阪和そして近畿道・中国道を経由し、自宅に戻る。
 今回はこのK-1では初の車中泊旅行だったが、今の私にとっては理想的な旅の手段であることが実証された。もちろんバイクなどもやめるつもりはないが、新たな趣味を開拓した気分である。ということはますます遊びに割く時間が増えるということか。まあ人生楽しんでなんぼ・・・や。もっともっと遊ぶで〜〜〜!

 



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