紀伊半島一周コース




 今年の春の彼岸は3連休になっている。暑さ寒さも彼岸までと言われているように、気候も良くなってきた。ということで旅立つしかない。今回は紀伊半島一周の旅である。特に半島の東側を重点的に攻めようと思う。  


 まずは伊勢へ。今回は神宮参拝はパスさせてもらって、伊勢のソウルフード、まんぷく食堂の「唐揚げ丼」に挑戦する。私は詳しくは知らないのだが、映画化された小説の舞台となった食堂らしい。そのためわざわざ遠くからこの店を訪れる人も多いと聞く。そして何よりこの唐揚げ丼が絶品である。香ばしくそして歯ごたえのしっかりした唐揚げが、とろっとした半熟の卵で綴じてあるのだ。それがタマネギの甘みと共に、口の中で絶妙のハーモニーを奏でる。一気に掻き込んでしまった。 

これがあの唐揚げ丼だ!


まんぷく食堂    レトロな雰囲気

昭和の時代そのもの



 そして今夜のお宿「多気パーキング」で就寝準備をする。就寝準備というのは、別名飲む支度である。実はお彼岸とはいえ、来る途中の鈴鹿山脈は季節はずれの雪化粧をしていた。この寒さに対抗するのは、体の内側から温めるのが最善策だ。ちびちび飲りながら、一人きりの一夜を過ごす。


 翌朝はかなりの冷え込みで、フロントガラスは凍っていた。それゆえシュラフの中で、ぐずぐずと怠惰なひとときを過ごす。そしておもむろに朝食の支度をする。本日の朝食はニシンうどんである。そして食後のコーヒー。インスタントばかりだが、優雅な朝のひとときである。そして出発。紀伊半島の海岸沿いを南下する。

今夜のお宿  愛車エブリィ君

就寝準備(?)

朝からうどんを作る

食後の珈琲



 以前私は一度紀伊半島を一周したことがあるが、あまりの交通事情の悪さに閉口してしまった。紀伊半島の東側の国道42号線は、凄まじいばかりの酷道だったのを記憶している。今はもうかなり整備されていて、快適に走ることができる。高速道路もまだ完全ではないが一部開通状態で、近い将来伊勢道から潮岬まで一気に走れる日が来るに違いない。


 まずは熊野の鬼ヶ城に立ち寄る。たまたま見かけた「世界遺産鬼ヶ城」に引かれたのだが、一見の価値はある。坂上田村麻呂の鬼退治の伝説のあるところだが、たしかに鬼が住み着いただろうなと思われるような、海岸絶壁の岩場である。何十人かの鬼が宴会出来そうな、そんな浸食された洞窟もあった。ここで土産のサンマを買う。一つは「神さんま」という薫製で、もう一つはサンマの丸干しである。脂の乗ったサンマは塩焼きでうまいが、干物にするには脂が抜けた方がいいらしい。それもイワシやアジなどの小魚ならともかく、大きなサンマを丸ごと干すには、この脂の抜けた紀州のサンマが一番適しているそうだ。そして今の自分用にサンマ寿司を買ってその場で食べる。気のいいおばちゃんがお茶を入れてくれた。爽快な青空の下、新鮮なサンマ寿司をほおばる。美味い。素材の良さは、いかなる調理法にも勝る。シンプルな寿司は絶品だった。 

鬼ヶ城入り口

磯釣りをする人も見える

鬼の宴会場

絶壁


 

サンマの燻製「神さんま」

これは美味かった



 そして新宮を目指す。実は今回の旅の一番の目的は、この新宮である。熊野三山は、熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の総称であるが、このうち新宮にある熊野速玉大社には私は行ったことがない。行ってみると他の二社とは違って市街地に非常に近く、そして海にも近い。そのため漁師さんからも信仰が厚いと聞く。そして見つけました!何気なくお守りやお札を見ていたら、こんなお守りがありました。なんと「幸福釣り守り!」。大漁祈願、水難除けのお守りで、幸運を釣り上げ運気を上げてくれるそうである。そしてそのお守りは、キラキラ輝く水晶玉の中に、なんと金色の鯛と釣り針が入っているのだ。これはもう頂くしかない。自分自身のためにこのお守りを授けて頂いた。そして家族には、デコポンを大量に仕入れる。さすがミカンの産地、あちこちで直売されていた。 

世界遺産 熊野速玉大社

熊野速玉大社


大漁間違いなし!



 その後、熊野那智大社へ向かう。言わずと知れた那智の滝をご神体とする霊験あらたかなお社である。学生時代、クラブの合宿で一度訪れたことがあるが、あまりの練習のきつさに疲れ果て、ほとんど記憶に残っていない。ということで、今回はじっくりと参拝させていただく。表参道の脇の土産物屋に車を止めて、何百段かの階段を上る。参道途中の土産物屋さんでは、那智黒石の硯や南天の箸などを売っていた。じいさんばあさんの土産に、南天の箸を購入する。そして参拝する。旅の無事と家内安全を祈願する。そしてお隣の青岸渡寺へ。神仏習合とは言うが、こんなに仲良く隣り合わせに神と仏が鎮座なさっているのを見ると、なんとなく穏やかな気持ちになる。日本人は入ってきたものを寛大に受け入れて、そして同化させていくということに非常に長けた民族で、穏やかで器の大きな国民性なんだなあと実感する。そしてお参りする。だが突然不思議なことだが、急な耳鳴りとワァ〜という雰囲気に襲われた。そしてそれが過ぎ去った瞬間、なんともいえない爽快な気分に包まれた。あらゆる悩みや迷いが一気に消え去った心持ちだった。これが超常現象か!? まあ科学的なことは深く突き詰めずに、神仏のご加護だということにしておこう。日頃の運動不足のせいで、長い階段を登った後にめまいがしただけかもしれないが・・・笑。 

表参道入り口

平重盛お手植えのブナ


熊野那智大社

青岸渡寺


三重塔と那智の滝




 じっくり那智の滝近辺を散策した後、潮岬に向かう。なぜかライダーは角っこや端っこを目指す習性がある。「本州最南端」なんて看板を見たらもう行かずにはおられない。少しばかり国道からそれて、最南端の地に立つ。このあたりは台風が直撃するところで、恐ろしいばかりの暴風雨に見舞われるんだろうなあと思いを馳せる。 


 その後、串本の橋杭岩に立ち寄る。これまた科学的な根拠はさておき、なんとも不思議な姿である。どうやって自然はこのような造形を造り出すのだろうか。しばらくの間、飽かずに見とれていた。 

橋杭岩

おみやげのデコポンとはるみオレンジ



 さて、あとは家路に向かうだけである。今回は紀伊半島の西側は通過地点と考えている。もちろん見所はいっぱいあるが、時間的に余裕はない。ただひたすら高速道路を走る予定であった。だが高速道路が渋滞しているというニュースが入ってきた。わざわざ金を払って渋滞に巻き込まれるのもあほらしい。久々に国道42号線を北に向かって走る。かつては交通量も多く、それに伴い交通事故も多くて、「死に(42)号線」と悪名高い道であったが、目につくのは「売地」の看板と締め切ったままの廃屋と化した店舗である。高速道路の整備の結果、人の流れが変わってしまい寂れてしまった地域も数多いんだなあと実感する。ただ有田地方の峠道では、昔ながらのミカンの直売所がまだまだ元気に頑張っていて、思わず車を止めて「はるみ」を大量に購入してしまった。 


 そして我が家へ。多少の渋滞もあり、帰宅したのはかなり遅くなってしまった。家族は谷底に落ちてしまったのではないかと心配していたらしい。まあたまには心配かけるのもいいだろう。こちらは日本一霊験あらたかな熊野三山で家内安全を祈願してきたのだから。お互いを思い合う気持ちが大切である。(笑)
                                                     (2014.3.26)

 



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