盆休み  伊豆・甲州・上州・信州の旅

B 4・5日目 信州・上州編


 


 8月15日、6時に目覚める。そしてもう一度寝る。次に目覚めたのは8時半であった。久々の朝寝坊である。昨日・一昨日と暑くて寝苦しい車中泊だったのに対し、今朝は冷房で涼しく、ぐっすりと熟睡した後の朝である。昨日の夜は肩がコキコキして、どことなく軽い頭痛がしていたのだが、今はもう微塵も残ってはいない。隣のベッドでは息子がまだスヤスヤ眠っている。こいつも疲れているだろうから、今日はチェックアウトぎりぎりまで寝かせてやろう。

 昨夜は何とかギリギリのところで、この「小諸ロイヤルホテル」に泊まらせてもらうことができた。聞くところによると、僕らが泊まった後にもすぐ、部屋は無いかと問い合わせる電話が何件かあったらしい。幸いにして私たちはこうして泊まることができ、そのうえ美味い中華料理と生ビールを何杯も飲んで、爽快な朝を迎えている。実はこの小諸には私は思い入れがあるのだ。高校の修学旅行がこのあたりで、その時、小諸城跡の懐古園を訪れたことがあるのだ。もう30年ほど前のことになるが。島崎藤村の記念碑や、城跡から眼下に見える千曲川をかすかに覚えている。今回はその目の前に宿泊しているのである。これは行かない訳にはいかないだろう。まずは車を駅前に止めたまま、歩いて懐古園へと向かう。線路を渡れば目の前である。詳細は画像をご覧くださいね。

三の門にて

小諸神社

山本勘助が愛用した鏡石

島崎藤村記念館にて

小諸なる古城のほとり・・・・

眼下に見える千曲川



 懐かしい小諸をあとにして、軽井沢経由で浅間山・鬼押し出しへと向かう。何があったか知らないが、軽井沢方面はかなり渋滞していた。途中、木曽路の追分宿を散策し、そして本場の信州蕎麦を食べる。やっぱり、香り・歯ごたえ・喉越しが最高やね。たまたま立ち寄った店なのだが評判がいい店らしく、私たちが入った後、次から次へと客が続いた。そして鬼押し出しへ。実はここも私にとって思い入れのあるところである。かつて大学生の頃、東北大学に在籍していた友人に会うため、当時のバイクとしては最高峰だったナナハンに乗って、神戸から仙台まで走ったことがある。貧乏学生だったので高速は使えず、(というか、高速自体がまだ無かったと思う)下道ばかりでこのあたりを通過したのだが、時間の関係上、浅間山には行きたいとは思いながらもパスせざるを得なかったところである。つまりすぐ横を通過しながらも、行けずじまいになってしまい、それから30年の歳月が流れた。今回やっとそれが叶うのである。

 ドライブインで休憩していると、雲が切れて、突如雄大な浅間山が姿を現した。阿蘇の草千里を思わせる姿だった。そして鬼押し出しへ到着した。まさに殺伐というか壮絶というか、地獄とはこんな感じなんだろうなあとイメージしてしまう。溶岩が一瞬にしてすべてを焼き尽くし、それが冷えて固まった後には生命の活動がいっさい感じとれない・・・。ふと勝手な連想だが、もののけ姫のデイダラボッチ(シシ神様)は火山の象徴なのでは? すべてを焼き尽くして死滅させ、その後新たに命が芽生える。それを表しているのかなあなんていう勝手な想像に浸る。

姿を見せた浅間山

鬼押し出し@

鬼押し出しA

鬼押し出しB



 そして目指すは草津温泉へ。浅間山の噴火の犠牲になった嬬恋村を通り、東の横綱「草津温泉」に向かう。途中、道に刻まれた溝が音を出し、それがなんと「草津良いとこ一度はおいで」というメロディーを奏でる場所があった。息子は大変喜んで、バックしてもう一度通れとせがんだ。言うとおりにしてやると、今度は動画に納めていた。なかなかやるねえ・・・。温泉内の駐車場に車を止めて、中心街へと行く。テレビでは何度も見たことがあるが、実物は初めてである。これがあの有名な「湯畑」か〜!と感動して散策した。硫黄の匂いがぷんぷんし、ものすごい人混みで溢れかえっていた。どこか温泉に入れるところはないかと聞いてみると、すぐ近くの「白旗の湯」を教えてくれた。白旗という名の通り、源頼朝が発見したとのことである。やはり東国は源氏にゆかりのあるところが多い。源平の争乱から1000年ほどの歳月が流れるが、伊豆といい草津といい、人間の心の奥底には脈々と流れ続けているようだ。白旗の湯は透明な湯と白い濁り湯の二つの湯船があるが、なんと無料である。透明の方が熱く濁り湯はややマシであったが、ともに酸性が強いらしく、石けんを使用しなくてもとっても綺麗になるとのことであった。木造づくりの非常に高い天井を眺めながら、横綱温泉を堪能する。

草津温泉の源泉

湯畑にて@

湯畑にてA

湯畑にてB



 この日のお泊まりは、昨日があまりに快適だったので、今夜もホテルに泊まろうかと考えた。ところが息子が元気を回復したのか、今回は車中泊の旅に来たのだから、今日は車中泊にしようと言い出した。ひょっとしたらこいつは私以上に野宿やアウトドアが好きなのかも知れない。草津温泉のすぐ近くの道の駅(草津運動茶屋公園)に行ってみると、もうほとんど満車状態である。幸い1カ所空いていたので車を止める。もうレストランは営業終了しており、弁当の類のものも売ってなかったので、土産用の大きなシフォンケーキを買い込んだ。今日の晩御飯はこのケーキとカップうどんに決定した。

 道の駅の幟に書いてあったが、ここは平均気温18℃、窓を開けてみませんか、とのことである。確かにここは日が暮れてからは非常に爽快である。真夏の車中泊とはいえ、ここでは熟睡出来そうだ。予想通り人気が高いようで、次から次へと車が入ってくる。道を挟んで向かい側も敷地のようで、そちら側にもキャンピングカーをはじめ、いかにも車中泊しそうな車が集まってくる。そんな中、お湯を沸かして晩御飯を済ませ、息子とトランプに熱中する。グビグビ酒を飲みながら、たわいもないゲームに興じ、安らかに眠りにつく・・・。

 翌朝、ほんとによく眠れたといった感じの目覚めであった。昨日のホテル泊とそう変わらない眠りを得たようだ。夜は静かで、そして全く暑くなく、これなら長旅をしてもそんなに疲れは感じないだろうと思えるほどだった。体内時計も修正され、太陽と共に行動するようになってきた。ということで、まずは朝風呂である。道の駅をあとにして、西の河原の大露天風呂に行く。駐車場から少し歩くと、そこには広大な源泉かけ流しの露天風呂があり、料金は500円だった。ぼ〜っと何も考えず脳みそを空白にして、ただただ朝風呂を楽しむ。いいねぇ、旅に来た実感がこみ上げる。

車中にてカップうどんを食す。

夜明けの道の駅

雄大な浅間山

西の河原  大露天風呂



 実は今日が最終日で、明日には息子の行事があり、今日中には帰らないといけないことになっていた。あてのないぶらり旅も、いよいよ終盤を迎える。そして最後の目的地は「信州信濃の善光寺」へ向かう。今回は受験生の上の子ども二人の学習環境を確保するために、邪魔をする下の子どもを連れ出すという大義名分のもと、自由な旅を許可されているのである。やはり合格祈願をして、お守りの一つも買って帰らないと、ただ単に勝手気ままに遊びまくってきただけになってしまう。ということで、再び上州から信州へと峠越えをする。スキー場で有名な菅平を越え、長野市内に着く。昔の旅人はよくこんなところを歩いたものだ。まるで天空から下界に降りてきたような気分である。そして暑さもまた凄まじかった。善光寺はやはり厳かで、一見する値打ちはある。かつて子どもの頃、どこかの宿坊に泊まったことがあるのだが、もうほとんど忘れてしまっていた。

善光寺  門

善光寺



 草津温泉で身を清め、そして善光寺で心を清め、いよいよ帰路につく。木曽路の情趣を感じるため、長野から松本、恵那まで国道19号線を走る。「木曽路はすべて山の中である。」島崎藤村の「夜明け前」の冒頭文だが、まさにその通りの景観である。ただ道路自体は快適な道に改良されており、道の駅が次々と用意されていて、峻険な木曽路のイメージはがらりと変わって、明るいドライブコースになっていた。そして中央道・名神・中国道を走り、無事帰宅した。全走行距離はおよそ1600キロで、4泊5日の旅であった。軽ワンエブリィ君、お疲れ様でした。息子もあてのない旅の魅力に興味を持ったようで、もう次のことを考えているようであった。今年の盆休みはほんと充実したものになった。さて、次はどこに行こうか・・・。     (完)


 



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