淡路島一周の旅

クリスマス寒波で急遽予定変更する




 2012年ものこすところあと僅かになった。今年もバタバタした1年であったが、特に師走は慌ただしい。なんとか都合をつけて、12月23日と24日をフリーにした。そして山陰方面へ出かけて、美味いカニを食ってくる予定にしていた。ところがである。クリスマスに合わせたかのように、強烈な寒波がやって来たのであった。少々無理をして計画を実行しようかとも思ったが、その翌日には絶対にはずせない仕事が入っており、雪で帰れないなんてことは絶対に許されない。かといって折角ひねり出した連休を、むざむざ棒に振りたくもない。ということで、急遽、淡路島一周の旅へと予定変更した。

 大学生の頃、スズキの250で初めてツーリングに出かけたのが淡路島だった。F氏と2人、当時はモロに初心者だったが、最初に冒険をした地である。もちろん明石海峡大橋も鳴門海峡大橋もなく、手続きも乗り方もわからない初のフェリー挑戦に、ドキドキしたことを強烈に記憶している。今回は息子を連れてのK-1車中泊の旅である。

 まずは阪神高速北神戸線経由で明石海峡大橋を渡る。天候はいいものの、寒波到来の影響か、かなりきつい風が吹いている。こちらは軽ワンボックスで背が高いから、その影響を受けやすい。もとより絶景ポイントなので飛ばす気もないから、のんびりと流す。瀬戸内はいつ見ても美しい。前を見るより周囲の景色ばかり見るという運転をしながら、ゆっくり橋を楽しむ。そんな私の横を凄まじいスピードで追い抜いていく車がいた。まあ人それぞれ楽しむポイントは違うから好きにしたらいいけど、「折角こんなところまで来ているのに、もったいなくないんかいな?」と思っていると、これまた凄まじいスピードで追っかけていく車があった。その車は白黒のツートンカラーだった。南無阿弥陀仏・・・。案の定、2キロほど先に、その2台は仲良く止まっていた。
 

蛸飯・天ぷら・うどん・地鶏のグリル


 さっそく淡路島のサービスエリアで昼食とする。私は蛸飯と釜揚げうどんの天ぷら付きを注文する。息子は地鶏のグリルである。ふたりとも、もう完全に旅気分である。基本的に私の旅の鉄則は、「@旅の時は必ず外を見ること。Aその土地のものを食うこと。Bできる限りその土地をぶらつくこと。」の3点である。やっぱり明石に来たらタイやタコははずせない。そしてアナゴもね。アツアツの天ぷらが美味かった。
 
 高速道路とはここでサヨナラをして、いよいよ淡路島下道一周を開始する。右回りで海岸線を走る。息子はヤシの木を見て、びっくりした顔をしていた。同じ兵庫県でも、まだまだ知らないことがいっぱいあることを実感していたようだ。かつてガシラカレイを釣りにきた港を懐かしく眺めながら、快調に走る。昔からそうだったが、この島の車はみんなマナーが良く、せいぜい制限速度プラス10ぐらいまででのんびり走っている。そしてそんなスピードなのに、後ろから煽ってくる奴もいない。穏やかな気候は穏やかな人柄を生み出すのかもしれない。

 まずは「御井の水」に立ち寄る。日本最古の書物「古事記」にも出てくる清水だそうで、なんとあの仁徳天皇が愛飲されたとか。たまたまそこにいたオッチャンが言うには、夏でも腐らず、寒の頃なら一年中腐らないとのことである。試しに飲んでみると、やや硬質な、そしてすっきりした味わいが染み渡った。ペットボトルに汲んで持ち帰ることにする。次に立ち寄ったのは「伊弉諾神社」である。さすが淡路島、国産みの伝説の残る地である。この国に最初に降り立った神で、あの太陽をつかさどる天照大御神の父神を祀ってあるのだ。この地に足を踏み入れたのに、ここに挨拶しなければバチが当たるであろう・・・。と思い、海岸線からはちょっとばかりそれるが、参拝することにする。そこに行く途中、やってましたネズミ捕り! 幸い対向車がパッシングで知らせてくれたので難なきを得たが、こんな聖地でネズミ捕りなんてするなよ!と思ってしまう。

 行ってみると、そこには「古事記編纂1300年」と書いてあった。そして今日はたまたまではあるが天皇誕生日。鳥居の近くにはさざれ石との展示があり、君が代が書かれてあった。私は特別な思想は持っているわけではないが、なんか偶然にしては出来過ぎてるなあ、なんて気持ちになった。記念に正月用のお神酒を買って帰る。

伊弉諾神社にて


 洲本温泉から幹線を外れ、海岸線を走る。道も狭くなり民家も少なくなるが、このあたりがスイセンで有名な立川水仙郷である。ところが言ったら悪いが、なんとなく不気味な雰囲気がするところであった。「ナゾのパラダイス」なる看板が現れ、それもいかにも不気味な手描きで、独特の雰囲気を醸し出している。そしてまったく人気がなく、さっさと立ち去るのが一番と思い、そそくさと通過する。黒岩水仙郷あたりは開放的で、ここでは釣りをしている人がいたので、ちょっとばかり車を止めて海岸をさまよう。その釣り人は、大きなガシラをたくさんも釣っていた。沼島を横目に見ながらさらに南下していくと、今回の目的地の一つ、日帰り温泉「ゆーぷる」の案内板を見つけた。案内板に従ってたどり着いたのは4時頃であった。ここの露天風呂には歩行湯やウンテイ、すべり台などがあり、ちょっと他では見られない施設である。この日は特別寒かったが、浸かったり出たりを繰り返し、かなり長い間楽しんでいた。そして十分楽しんで出ようとした時、なんと職場の同僚とばったり出会ったのだった。なんともまあ、世間は狭いものである。まさかこんなところで出会うとはねぇ・・・。ほんま悪いことは出来まへんわ。

 そして今夜のお宿、「道の駅うずしお」にむけて車を走らせるが、その前に食料を調達しなければならない。ところがどこまで行っても街の明かりはなく、食堂もスーパーもない。そしてもう真っ暗である。ちょっとばかり不安になるが、ドキドキを楽しむのも旅である。どこをどう走ったのかよくわからないが、やっとのことで小さな町に出て、そこで見つけたスーパーで握り寿司のパーティー用のパックと、巻きずしを3本買う。そしてクリスマス用のローストチキンも購入した。うちの息子は鶏肉に目がないのである。ところで、なんと巻き寿司が一本198円!。そしてローストチキンが180円! 淡路ってこんなに物価が安いの? 

 かなり遠くまで走ってきたが、ここから道の駅まで戻ることにする。先着者は大きなキャンピングカーただ1台きりで、ゆっくり過ごせそうである。ただこの日は嵐のような風で、轟々と吹き荒れており、時折車が揺れるほどだった。早々に雨戸(ただの銀マット)を貼って外界から遮断し、宴会体制に入る。我が愛車は、時にリビング、また時には寝室、そして時には駐輪場に早変わりする。乾杯した後、息子は早速ローストチキンにむしゃぶりついている。そして握り寿司をぱくつく。いやぁ、シアワセ、シアワセ。少々トランプして遊んだが、いつもよりかなり早い就寝である。冬の車中泊ではあるが、いっぱい着込んでシュラフにくるまり、その上に毛布とダウンシュラフをかけて寝れば、特に寒さは感じない。風に音で夜中に何度か目覚めたものの、十分に睡眠を取ることができた。これも温泉と寿司のおかげである。 

宴会の はじまり はじまり〜!

さてそろそろ寝よっか・・・。




 さて、朝である。雨戸の隙間からまぶしい光が差し込み目が覚めた。小鳥がさえずり爽快に・・・と言いたいところだが、一晩中轟々と嵐のように吹きすさんでいた風は、今なお続いている。だが、用を足そうと車外に出た途端、思わず絶景に見とれてしまった。昨夜車を止めたときにはもうすでに真っ暗だったので気づかなかったが、ここはあの鳴門海峡大橋の北詰で、目の前には雄大な橋脚がそびえ立っている。そして風の音にかき消されてしまい、車の走行音は全く気にならなかったのだが、すぐ横を高速道路が通っていた。朝と夜とでは全く雰囲気の違う場所である。「道の駅うずしお」が9時にオープンするので、それまではシュラフにくるまり、朝の自堕落なひとときを過ごす。このうつらうつらとしたひとときがシアワセなんよねぇ・・・。朝食は昨夜買っておいた一本198円の巻きずしである。冷たくなってはいるが、インスタントのみそ汁を作れば豪華な朝食へ早変わりする。この甘酸っぱさが何とも言えない。だが昨夜の11時が消費期限なので、厳密に言えば数時間オーバーしている。小学生の息子はそれを指摘してどうしようかと迷っていたが、もちろん私は気にしない。嫌なら食わんでもええ、と私一人パクついていると、全部食われてしまっては大変と思ったのか、息子もパクパク食べ出した。うん、男の子はそれぐらいでなくてはならない。ある有名人の講演で聞いた言葉だが、「何でも食べられて、どこにでも寝られて、そして誰とでも友達になれる人」がやはり一番人間としての体力を持っている人だと思う。「腕白でもいい、逞しく育って欲しい」ってとこか・・・。

鳴門海峡大橋@

鳴門海峡大橋A

鳴門海峡大橋B

海岸にて


 さて9時にあわせて展望台へ行く。それにしてもでっかいものを造ったもんだ。立っていることさえままならないほど風は吹き荒れ、海は河のように激しく流れているのに、そんな中を何事もないかのように立っている。渦潮で有名なこの激流の中に平然と立ちつくしている姿には、人間の英知と文明を嫌でも感じさせられる。う〜ん、感動。しばし見つめる。一通り見物したあと土産物をあさり、最後に淡路島バーガーを食べる。今はやりのB級グルメの一つで、今年度のバーガーフェスタでは全国第2位の栄冠に輝いたそうである。特産の淡路ビーフとタマネギの甘み、そしてシャキシャキとした食感が印象的であった。

淡路島バーガーを喰らう


 さて、いよいよ出発である。まずは近くのうずしお記念館に行くが、なんと休館していた。入り口の看板には一週間ほど休館すると書いてあったが、おいおい、そりゃないやろ。もちろんいろいろな事情があるだろうけど、冬休み中のそれも3連休の期間を閉館するなんて、ちょっと非常識ではないか。そして後で知ったが、北淡町にある震災記念館も同様に、12月下旬を閉館期間にしていた。このような公共の学習施設がこの時期に休みを設定するのは、やはり民意とはかけ離れた論理に基づいていると言われても仕方がないのではないか。まあ車中泊の旅は、ハプニングを求めて旅をするという一面もあるので、次にまた来る楽しみが出来たと考えておこう。


 ということで鳴門海峡をあとにして、本日は西海岸の半周を散策する予定である。昔ながらの漁村を通り、道は淡々と延びている。途中、砕け散る波を何度か浴びたが、わが愛車なら気にならない。まあ錆びても朽ち果ててもええか・・・と思える車というのは、本当に自由を楽しめるものだ。途中、淡路島七福神の一つ弁財天のお寺に立ち寄り参拝する。小高い丘からのんびりと村を眺めていると、昭和に戻った気がした。

 さらに北上すると、道ばたでタマネギを売っていたので、少しばかり土産に購入する。かなり高齢のおじいちゃんが愛想良く対応してくれて、息子に「今年は不作で小さいけど」と言いながら、たくさんのミカンをくれた。ミカンも淡路島の特産らしい。

明石海峡大橋


 そうこうしているうちに、今回の淡路島一周の旅も終わりに近づいてきた。最後の締めは、やはり温泉である。「美湯 松帆の郷」はかなり人気の高い日帰り温泉のようで、ここを淡路島最後の締めくくりにした。腹も減っていたので、まずは食事とする。私は海鮮天丼を注文したが、キスやタコ、サバなどの揚げたての天ぷらが乗っかり、とても美味い。あっという間に平らげて、その後ゆっくり湯につかる。あ〜、今回の旅の締めくくりである。露天風呂からは真っ正面に明石海峡大橋が見える絶好のロケーションである。これぼどの絶景の温泉はまず他には見あたらない。人も少なく一時は息子と二人の貸し切り状態になり、思う存分温泉を堪能していた。あ〜極楽極楽・・・。そして一周旅行を成し遂げ、家路につく。

 温暖な気候と旨い魚、そして絶景。心を豊かに、そして元気を充たす旅となった。さあ、明日からまた働こか・・・・。

                                                                          (2012.12.23〜24)

 



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