丹生山・帝釈山にて

                                        




 長男が中学生になってから、家族5人が休日にそろうということが少なくなった。長男は柔道部に入り、今はそれが楽しくて楽しくて仕方がないらしい。休日も弁当持参で練習に励んでいる。親としては嬉しいような寂しいような、ちょっと複雑な心境である。手が放れて楽な反面、下の二人の面倒を見てくれていた兄貴が留守なら、その分の負担が親に戻ってくる。なんせ一番下はまだまだ幼稚園児と変わらないというか、まだまだサルみたいな奴だから手が掛かる・・・・。


 そんなある日曜日、久々に兄貴も休みで家族がそろった。でも5人が家でグダグダしてたら、それこそ嵩張るばっかりでうっとうしい。ショッピングに行ったら娘にあれやこれやとせがまれて、私の小遣いが無駄に消費されるのが目に見えている。というわけで、近場の山へ行くことに決定する。体力がない下の子や、何かを買ってもらいたい娘からは大ブーイング・・・・。普段部活ばっかりしている兄貴からは、たまにはゆっくりしたいよという不満の声が・・・。だがここは親父の権限を最大限に乱用し、有無を言わせず出発する。途中のコンビニでチョコとアイスを買い与えて小学生どもの機嫌を直し、歴史の好きな中学生の兄貴には「今日の道は、かつて源義経が通った道なんだよ!」と言って、こっちのペースに巻き込んでしまう・・・・。まだまだオヤジの方が老獪だもんね(笑)。


 さていよいよ登山開始である。登りは呑吐ダムそばのサイクリングターミナル横からである。ここは神戸市のシンボルである六甲山の北側にあり、歴史的にもいろいろな出来事の舞台になったところだそうである。源義経がこの道を越えて、あの歴史に名だたる「鵯越の逆落とし」に向かった経路らしいし、戦国時代には織田勢と毛利勢がぶつかった播磨騒乱の舞台になったようだ。秀吉が三木城を兵糧責めにしたとき、三木城の別所氏に加担したためにそこにあった明要寺は焼き討ちにされ、殺戮が行われたらしい。「稚児墓山」なんていう恐ろしい名前の山も、その戦に因むものらしい。

サイクリングターミナル横の登山口 あー、しんど・・・・。 丹生山城・明要寺跡


 いきなりけっこうな坂道が待ち構えている。まあ山道に慣れた人ならたいしたことはないかもしれないが、なんせ日頃の運動不足を解消するのが目的のド素人の登山者にはきつい・・・。だが、これまたあまり外遊びが好きではない小学1年生を連れているので、なんとかボチボチ登っていく。最初は竹薮だったが、次第に山らしくなり、六地蔵さんが現れた。その奥には苔むした墓もあり、かつてここにあった明要寺の墓地であろう。このあたりがいわゆる「義経道」らしいが、やがて自然歩道に合流する。


 ここからは開けた道となり、気持ちよいハイキングができる。途中に一匹スズメバチがいたが、しばらく様子を見てたらどこかへ行ってしまったので、特に支障もなく登山を続ける。そのうちに石垣が現れた。きっとかつての城跡か寺の跡であろう。そしてすぐに丹生神社に着いた。ここには20名ほどの先着の方々がおられた。どの人もかなり年輩の方であるが、誰もが元気そうである。いいねえ、こんな健康的な趣味を持ってて・・・。カップラーメをうまそうにすすっておられた。


 さて丹生神社を参拝してから、帝釈山へと向かう。このあたりの山系では最も高いところだ。まるでトトロの森の木のトンネルをくぐり抜けるかのような道である。落ち葉が足下で、カサカサと気持ちの音を立てている。そんなにきつい登りではなかったが、徐々に標高を稼いでいるといった具合である。ドングリや栗を拾いながら、家族5人が山道を楽しむ・・・・。といっても楽しんでいるのは私だけで、小学生2人はへろへろ、柔道をやってる中学生は「畳の上なら体力があるんだけどなあ・・・」とかなんとか訳のワカランことをほざいてる。嫁さんは嫁さんで、今日はアウトレットにショッピングに行きたかったと不平を漏らしている・・・。 あ〜あ、どうしようもない奴らじゃ。


 やっと山頂にたどり着いたが、そこには20名ほどの、なんと自転車軍団がいたのだ。マウンテンバイクで山を楽しむ人がいるというのは知ってはいるが、実際にそんな姿を見たのは初めてだった。よくもまあ、こんなところまで担いであがってきたものである。女性が数名混じっていたが、かなりの体力が必要なんだろうなあ・・・・。 山頂は展望が開け、かすんではいたものの、遠く明石海峡大橋まで見ることが出来た。やはり播磨灘の景色はいつ見てもいいものである。心がなごむ・・・・。

丹生神社 木のトンネル。トトロみたい・・・。 播磨灘


帝釈山山頂にて


 そこで軽く昼食をとり、もときた道を下山する。ところがそのまま戻ったのでは芸がないと思い、ちょっと違う道を試してみた。そこは急な下り坂で、膝に負担がかかるものの、登りよりは楽である。調子よく進んでいたが、どうも行き先が不安である。たまたま登ってきた人があったので尋ねてみたら、どうやら正反対のようであった。ということで、いま下ってきた坂道を登ることになってしまった・・・。ブーイングの嵐であることは言うまでもない。


 チョコレートとアメで釣りながら、なんとか駐車場まで戻ってきた。そしてそこではジュースをねだられた。うーん、扶養家族どものお守りもなかなか大変である(笑)。

 



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