滋賀県大津市  散策


 2008年の暮れも押しせまったある日、一通のメールが入った。それは高校時代の友人からの、忘年会の誘いであった。これまでにも何度か誘ってもらいながら、どうも都合がつかずに参加できなかったが、今年は曜日の関係で参加できそうである。ということで、そしてせっかく行くからには早めに出発して、懐かしい場所を散策することにした。



 まずはJR膳所駅で降りる。本日の飲み会の場所は浜大津だから決して最寄り駅ではないのだが、ふと何気なく切符を買ってしまった。まあそう難しく考えずに、自分の内なる声に従ってぶらつくことにしようか・・・・。


 実は30年ほど前にはこのあたりをよく彷徨ったのだが、不思議とここの名所『義仲寺』を訪れる機会はなかった。いつでも行けるといった気持ちがついつい先延ばしにすることになり、故郷を去ってからは、たまたまこのあたりを訪れたときは休館日だった・・・・といった具合で、いまだに参詣したことがない。そのくせ人には 「時は源平の騒乱時、あの朝日将軍と謳われた『源義仲』と、かたい絆で結ばれた乳母子『今井四郎兼平』」が、この『粟津の松原』で最後の2騎になるまで戦い抜き、果てには壮絶な最期を遂げたんや・・・・」などと、まるで見てきたかの如くに話をしているてまえ、「実は、ホンマはまだ行ったことないんや。」なんて今さら口が裂けても言えない。というわけで、ここを今回の重点ポイントとした。


 この地はかつて木曾義仲と源義経が戦った(粟津の戦)ところで、義仲終焉の地とされる。 平家物語には、その勝敗の結果だけではなく、乳母子今井四郎兼平との実の兄弟以上の固い絆、愛妾の巴御前との別れなど滅び去っていった者達のそれぞれの生きざまが、鮮やかに描きだされている・・・・。 またその地に建てられた義仲寺には、あの松尾芭蕉の墓もあり、「木曾殿と 脊中合わせの 寒さかな」と詠まれている。

JR膳所駅 京阪膳所駅


 ところが駅を降りた途端、まっすぐその義仲寺には向かわずに、逆方向へ歩き出したところがいかにも私らしい・・・・。逆方向の商店街をぶらぶら歩く。記憶に残っている店もわずかには残ってはいるが、ほとんどが変わってしまっていた。そして膳所神社に参拝する。ここもなぜか訪れたことはない。すぐ近くまでは何度も来たことがあったのだが・・・・。軽く神さんにご挨拶をして、また散歩を続けようとしたが、鳥居の前には風情のある店があり、というよりものすごく鼻をくすぐる匂いに、思わず足が吸い寄せられた。「馬杉湖魚店」といういかにも近江らしい店から、を焼くなんともうまそうな匂いが漂ってきたのだ。そういえば最近、鰻を食っていない。偽装の嵐が吹き荒れてから、いつの間にか鰻から遠ざかっていた。「食いたい!」なんとも抑えがたい衝動に駆られたのだが、今ウナギを一本を買って1人でまるかぶりしながら散歩するのは、さすがに無理で、場合によっては変質者に間違われるかもしれない。かといって飲み会を控えているので、出来るだけ荷物は持ちたくない。かなり思案したのだが、今回は見送った。他にも「いさざ」「ごり」の佃煮など、これで飲んだら止まらないだろうなと思う琵琶湖の幸が、たくさん並んでいた。


 そして膳所公園へ向かう。以前とは違って綺麗に整備されていた。ぐるっと一周したが、やっぱり琵琶湖っていいねぇ・・・・。それから幹線道路沿いに琵琶湖を眺めながら、北へ向かう。釣り師の端くれである私としては、やはり外来魚問題に関心があるが、この綺麗な琵琶湖の水面下には、想像もつかない事態が起こっているのかもしれない・・・・。でも琵琶湖の護岸も綺麗になりすぎて、これでは琵琶湖のボテジャコも棲みにくいだろうなあ、とも感じた。そんなことを考えながら、義仲寺まで歩く。

琵琶湖の漁法「えり」 近江大橋と三上山 膳所港


 拝観は4時までで、あと20分しかなかったが、受付の女性は「どうぞ時間が過ぎてもごゆっくり・・・」、と非常に感じのいい対応をしてくれた。そのお言葉に甘え、じっくりと思う存分見学させて頂く。 画像にてどうぞ。

義仲寺

行春をあふみの人とおしみける

古池や蛙飛びこむ水の音

巴塚

義仲公墓

翁堂

芭蕉公墓

旅に病んで夢は枯野をかけ廻る

浜大津港


 そこから浜大津まで、幹線から一本中に入った旧街道を歩く。昔ながらの食料品店があったり、いかにも老舗っぽいゆばの店があったりと、観光地ではない生活の場を楽しむ・・・。 とは言いながら、実はさっきののことがずっと頭の中によぎっていた。やっぱり欲しいと思ったときには、手に入れておくべきなんだろうね。 ということで、かつては賑わっていたが今は寂れてしまった商店街を訪ねてみた。するとやっぱりありました!創業は嘉永3年「八百与」という店である。そこには特産の漬け物と、アユモロコフナなどの佃煮が所狭しと並んでおり、寂れた商店街の中で、そこだけはお客さんがたくさんいた。先ほどの教訓があるので、ついつい琵琶湖の小魚の佃煮や飴煮をあれやこれやと買ってしまった。あ〜、あとは飲み会のあと、酔っぱらってこれらをどこかに置き忘れてくることだけが心配である・・・・・。


 飲み会は最高に楽しかった。やっぱり故郷とはたとえ細くともずっと繋がっていたい、そう実感した。湖魚はというと、なんとか家まで持ち帰ることができた。京阪電車からJRに乗り換えたあたりの記憶はまったくないぐらいベロンベロンになっていたのだが、腕にしっかり袋を結びつけて置いたおかげで無事に我が家までたどりつき、翌日の晩酌の肴になった・・・・・。

琵琶湖の鮒

                                                        (2008.12.27)



 


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