健 康 診 断




 ついに健康診断がやってきてしまった。

 これだけをご覧になった方は、「たかが健康診断ぐらいのことで何をおおげさに言っとるんや」とおっしゃるでしょう。でもうちの職場においてはこれが大変な意味を持つのです。
 

 そもそもうちの職場では、満40歳になる年から健康診断の内容ががらっと変わってしまう。 それまでは身長・体重・視力・レントゲン・検尿程度ですぐに済んでしまうものばかりである。それが40の声を聞くと同時に、それらに付け加えて、聴覚検査・血液検査胃部検診などの項目がふやされる。実は私にとっては、苦手なものばかりである。



 まず第一に、注射がとりわけ苦手である私は、針を刺されると思っただけで胸がドキドキし、それがムカムカに変わる。思えば子供の頃、風邪で近くの病院に行ったときのことだった。当時は注射は当たり前で、お医者さんに行ったら注射をされるというのは当然のことであった。診察の後、注射をされるために順番を待っていたときだった。私の前には母親に抱かれた幼児が、今まさに注射をされようとしていた。そのときふと、医者が手にしていた注射を見た。その注射は医者の拳にしっかりと握られ、針が小指側から出ていた。けったいな持ち方をするなあと子供心に思った瞬間、まるでその拳をふりおろすかのようにして、その幼児の腕に針が突き立てられた。

 激しい鳴き声が響き渡り、医者のもう一方の手の親指が注射器の頭を押したときには、もう私は逃げ出して走り去ってしまっていた。それ以来、先端恐怖症のようになってしまい、40になるこの年になっても苦手なのである。注射の後は、しばらくの間、吐き気をもよおすのである。



 次に胃部検診も大嫌いである。まずこれが嫌なのは、前日の9時から絶食を強いられることである。飲んべえの私は日によってはまだ晩酌の真っ最中である。それを早々に切り上げなければならないのが、何より辛い。もちろん当日の朝飯も抜きである。そして職場に行ったらすぐ検診というのなら、あとわずかの辛抱で済む
のだが、仕事の空き時間に検診を受けるので、今日なんかは受けられたのは11時であった。もちろんコーヒーの一杯も飲んではいない。

 そしてついにバリウムを飲むのだが、これがまた辛い。空きっ腹に気持ちの悪いどろどろした液体が流れ込みそれだけでもむかつきそうである。おまけにゲップをしたら、元の木阿弥で、もう一度飲まされる。その後、あっち向きやこっち向きにされて、写真を撮られる。腹の中をバリウムが流れているのが見えるようである。

 それが終わったら終わったで、あとがまた大変である。下剤をもらい、はやく排泄するように言われる。ところが昨日からなんにも食ってないし、時間的にそろそろ昼食をとらねば午後からの仕事にもさしつかえる。というわけで、あんまりすぐには食べたくはないが、昼食とする。もちろん目には見えないが、自分の腹の中が想像されてしまう。今食っている弁当と、先ほど飲んだバリウムが混じり合っているだろう。そしてその後にたっぷり飲んだ水がそれらをぐちゃぐちゃに浸し、混ぜ合わされているだろう。そしてそれらには下剤が降りかかっている・・・・・・。思わずメシがのどを通らなくなってしまう。

 その後、便意を待つわけだが、午後からも平常通り仕事がある。私の仕事は人と接する仕事である。これが一番辛い。大切な話をしているときに、『キュルキュルキュルルルル・・・・』と腹が音を立て始めると、もうどうしようもない。人間の一番弱いところに触れる苦しみである。



 このホームページのタイトル通り、私は今年40歳という年齢を迎える。ということは今年からバリウムデビューをするということでもあった。職場の先輩方が、バリウム初心者の私達を励ましてくれた。なんか先輩方の仲間入りをしたようで、変なところで親近感をもってしまった。でもこれがずっと定年まで続くと思うとぞっとした。

                                                   (2001年4月27日)




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