絶品! 親がに丼




  今年の秋は何となく温かく穏やかな気がする。年によっては夏からいきなり冬を迎えたかのような急激な移り変わりをする年もあるが、今年は自分としては十分に秋を楽しめたと思う。スポーツの秋、読書の秋。そして食欲の秋…。ところで晩秋から冬の味覚の王者はやはりカニであろう。この季節になるとどうしても食べたくなってくる。


 実は2年越しに思い続けていたことを、今年実行することが出来た。それは親ガニ丼を食べることである。ネットの情報でその存在は知ってはいたが、一昨年は既に時期が過ぎ去っており、昨年は忙しくてそのチャンスに恵まれず、なかなかその願いを叶えることはできなかった。そもそも「親ガニ」とはどんなカニなのか? 関西人の私にとっては、まったく馴染みのないカニである。

 だがよく調べてみたらズワイガニのメスとのことである。なんだセコガニかと関西人の私は理解したが、北陸では香箱ガニ、鳥取では親ガニと呼ぶそうである。セコガニはオスのズワイガニ、つまり越前ガニや松葉蟹、あるいはあのブランドの間人ガニなどと呼ばれる超高級食材に対して、姿形も小さく値段も手頃なので庶民の口にも入りやすい。だからオスに比べて軽く見られがちだが、決して値段相応の差があるわけではない。というよりむしろこの時期にしか捕れない、いや捕ることを許されていない(わずか2ヵ月弱)メスガニは、ある意味非常に値打ちがあり、持っている内子外子ミソは絶品である。それは珍味というだけではなく、若返りの効果がある成分をたっぷり含んでいるらしいから、美容や健康にも非常に効果的な食材である。実際地元の人に言わせれば「美味しいのはメス、観光客にカネを落とさせるのはオス」だそうである。


 そんな親ガニを、なんと一杯の丼に10匹も使うそうである。誰もが感じることだが、茹でたセコガニの内子はたしかに美味いが、量的にはほんのわずかである。それを存分に心ゆくまで味わえるのだ。だからこれを食べに行くためだけに、片道200キロを日帰りドライブをした。




 きっと夜はネオンが賑やかな街なんだろうなあ、と思われる路地にその店はあった。名前は「味暦あんべ」。もひとつ意味不明な店名だが、店の前には発泡スチロールの箱がいくつも重ねられ、その前には既に行列が出来ていた。予約をしておいたので行列を横目に店内に入る。あまり広くはなく客席も少ないので、あの行列に並んで親ガニ丼にありつけるのは、かなりの時間と運が必要だろう。

長い行列・・・・。

親ガニ丼御膳



 そして予約しておいた親ガニ丼御膳をいただく。なんともまあ、贅沢な一品である。生の内子がど真ん中にデーンと陣取り、その上には醤油漬けの外子が乗っかっている。塩ゆでの内子は甲羅の中に大量に入っていて、その両脇にはカニ身とカニ味噌が溢れんばかりに乗っかっている。そしてカニ汁。これにも親ガニ一匹分がぶつ切りにして入っている。これはお代わり出来るらしい。そしてカニ身の天ぷらとカニ身の入った冬瓜のあんかけ。これで4000円なり。この時期に此処でしか食べられないとあっては、4000円は安いものである。(と、いいかっこしておく。笑)

これが 「親がに丼」 だ!

カニ汁   おかわり可



 まずは塩ゆでの内子。親ガニの中に入っているオレンジ色の部分だが、以前から私はこれが大好物である。これより旨いものはなかなかこの世に存在しないと思う。次に生の内子。これは人生初体験である。一口食った瞬間、涙がこぼれそうになった。ウニに似てはいるが、ウニほど濃厚ではない。淡泊だがそれでいて強烈に存在を主張してくる。これは地元の人でもなかなか食べられないそうだ。次に味噌。これが全然くさくないし、触っても手に匂いがそんなに残らない。今までカニを食べたら、次の日まで強烈な匂いが染みついてなかなかとれないと思っていたが、全くこれはそんなことはない。新鮮な食材の証だろうか。次にカニ身。これは今まで一番よく食べてきたものだが、どうも違う。オスの松葉蟹ともまた違った旨みがあるのだ。そしてカニ汁。うーん、うまい。こりゃもうお代わりするしかないね。具は大根だけだが、この方がカニ自体の美味しさが味わえるね。そして次は組み合わせに挑戦する。つまりカニ身と生の内子をブレンドして口に放り込む。これまたさっきとは違うんだよねぇ〜。味噌とカニ身もを混ぜても美味い。たった一杯の丼だけど、ゆっくりじっくりあれやこれやの組み合わせでいただくと、無限の楽しみが膨らんでくるのであった。幸せを十分味わい尽くしてきた旅であった。

                                                                         2015・11・29 日



 

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