城崎にて、城崎温泉には入らず(?)
                                        


 


 春の陽気に誘われて、久々にバイクで出かけた。この頃は軟弱になってしまい、どうも寒いときにバイクに乗るのがおっくうになってしまった。年齢的なものか性格的なものかは自分でもよくわからないが、まあ楽しくないのに自らを無理強いしてもしかたあるまい。心の命じるままに、自分の心任せに・・・・・。ハハハ、軟弱者の言い訳そのものである。



 但馬には全国区の温泉「城崎温泉」がある。志賀直哉の小説の舞台でもあり、柳の木が植えられた大谷川沿いの風情はすばらしい。浴衣を着て下駄をカランコロンと鳴らせながら外湯巡りをする・・・。最高やね! だが今回は「城崎温泉に行くのに城崎温泉には入らない、だが温泉が目的」という、なんともまあ私らしいへそ曲がりな目的でバイクを走らせた。


 篠山市、丹波市を通り、但馬に向かう。春の日差しを浴びながら、武庫川や加古川の源流あたりをのんびり流す。氷上からは無料の北近畿豊岡道路に乗るが、青垣で降りる。というのはこの先は有料の遠坂トンネルがあるからだ。たいした金額ではないのだが、バイク乗りにとっては大好きな峠道を、わざわざ有料道路を通ってパスするなんて、金を払って楽しみを減らすようなものだ。まったく時間に制限のない今日の私は、峠を走る。右へ左へと軽やかなコーナーリング。(あくまでも自分にとってということで、決して第3者的に見て華麗なコーナーリングということではない) 久々に乗るター子ちゃん(TR子)もご機嫌そうである。そして但馬へ・・・・。


 但馬に入ってからは、円山川の右岸を走る。このあたりまで来ると、いかにもツーリングしているなあといった気分になる。そして円山川の河口近くには、今回の目的地、城崎温泉がある。そこへ行く前に、その手前にある玄武洞方面を散策することにした。まずは円山川をまたぐ狭い橋の中央でバイクをとめて景色を眺める。本来は車の待避場所であって駐車禁止なのだが、そこはバイクの特権である。停めるところに気を遣わずに済むのは、ほんとに有り難い。しばし橋の上でたたずむ・・・。そういえば、こうやってじっくり見ることはなかった。乗り物を変えると視点も変わるということを、あらためて感じた。その後、玄武洞へと向かう。


 自然の造形の不思議、そして美しさ・・・・。何度も来たことがあるが、何度見ても飽きることはない。個人的には規模の大きい玄武洞よりも、何とも言えない美しさの青龍洞の方が好きだ。ここでもしばしたたずむ・・・・。なんというか、いつの間にか無になっている自分に、ふと気づく。

円山川にかかる橋より河口を望む



玄 武 洞

青 龍 洞


 そして城崎温泉へ。やはり土曜日だけあって、人があふれかえっている。そのなかをバイクで通過するのは気が引ける。歩行者道路ではないのだから、別に遠慮する必要はないのかもしれないが、あからさまに道のど真ん中を歩いてまったく横に寄ろうともしないオバサマ方、但馬の名湯で、体だけでなく心も綺麗にして帰ってね・・・・。


 温泉街のかたすみにあるすけ六という寿司屋で、お昼のサービスセットをいただく。赤だし付きのミニ海鮮寿司である。量は少ないが、新鮮なネタが旨い。そういえば最近、寿司屋といえば回転寿司しか行っていないなぁ。よく味わって食べる。温泉に浸かる前だから、満腹になるよりも、これぐらいでちょうどいいかもしれない。

城 崎 温 泉

ミニ海鮮寿司


 さて、城崎温泉に来たのだが、今回はパスすることにしてる。というか、もし入る予定で来てても、今日はパスしただろう。この人混みなら、さぞかし温泉も芋洗い状態にちがいない。ということで、今回の目的地『円山川温泉』に行く。この温泉は、城崎温泉から車でわずか5分ほど北に走ったところにある建物である。なんでわざわざそんなところへ、と思われるだろうが、実はこの温泉こそは、知る人ぞ知る、素晴らしい泉質を誇る穴場の温泉なのだ!・・・・らしい。実のところ、私は知る人ではない。 でも、だからこそ今回の目的としたのである。

 さて、バイクを停めて建物の中に入ってみた。客室を備えた温泉宿の作りをしているが、実際は日帰り温泉で、1階部分しか使われてないような雰囲気だ。ひょっとしたら以前は宿泊もできたのかもしれない。入浴料は500円で、ひっそりとしたたたずまいであった。屋内に1つ、そして露天風呂が1つといったシンプルな作りだが、なかには3人ほど入っているだけだった。入った途端に感じたのだが、何ともぬめりのある、体にまとわりつくかのような感触である。温度はそんなに高くはないものの、なんとなく体がふわっと軽くなるような不思議な感覚である。掛け流しの天然温泉ということなのだが、ちょっと他では感じたことのないふんわり感である。不思議な感覚を楽しみながら、じっくりどっぷり、温泉を楽しむ・・・・。露天はちょっとぬるすぎたので、もっぱら屋内の温泉ばかりに浸かっていた。うまいもん食ったあとでの気持ちのいい温泉・・・。来た甲斐があったね。

円山川温泉@

円山川温泉A


 円山川温泉を出発し久美浜方面へと向かうが、まずはガソリンを入れようとスタンドに立ち寄った。ところが誰も出てこない。かといってセルフのスタンドでもない。どないなっとんやろ?定休日かな? と思って中に入ったら、そこにはおばあちゃんがテーブルに伏せて、気持ちよさそうにスヤスヤ寝てた。 なんともまあ、ひなびた、のんびりした町だ。ちょっと悪いかなあとは思ったが、声をかけてみた。するとその婆さん、よだれを垂らしながら苦笑しておきあがり、ガソリンを入れてくれた。ところがまだ半分寝ぼけてるせいか、ゴボゴボっとガソリンをタンクからふきこぼしよった! 何すんねん!と思っていると、ゴメンゴメンといってタンクを拭いてくれはしたものの、まだ寝ぼけていて目がはっきり見えていないのか、こぼれたところと違うところを拭いている。「ちゃんと拭いてんかいな!」と言ったものの、よく聞こえてないようだ。しかたなく自分でこぼれたガソリンを拭き取る・・・。「はい、○○円。」と言ったので1000円札を渡したら、半ば予想はしていたものの、その予想通りに釣り銭を間違えていた。まあこちらが得するように間違えていたので黙っておいた・・・・。その後、スタンドから道に出るのを誘導してくれたが、これはもう、信用してはえらいことになる。この調子ならダンプが突っ込んで来てもオーライと言いかねない。自らの目視で確実に見極めてから、スタンドをあとにする。婆さん、今からもう一回、ぐっすり二度寝しなはれ・・・・・。


 そこから久美浜を通り出石へ向かうが、しばらく通らないうちに色々変わっていた。途中但馬と丹波の境目だからか「たんたん温泉」なるものもできていた。次回はここに来ようかな。 出石に着くと、ちょうどその日は初午(はつうま)の祭を開催しており、それは「三たん一の祭」ということだった。「三たん」というのは、但馬・丹波・丹後ということらしい。出石のシンボル辰鼓楼の周辺にはさまざまな屋台が出ており、たいそうな賑わいであった。

出石 初午の祭

辰 鼓 楼


 出石をあとにして福知山へ向かう。しばらく通らないうちに、快適な道になっている。難所も立派なトンネルに生まれ変わっていた。福知山ではラーメンを食べたが、出されたネギとニンニクをたっぷりふりかけ、精を付けて帰路に備える。


 ある知り合いが「 絶対にバイクの風は 疲れた気持ちを元気にしてくれると思います。 急ぐ必要はないんです。 風に乗って気持ち良く走れれば。 」と言っていた。まさにその通りである。風から元気をもらい明日からの活力にしよう。風からよく風邪をもらう私ではあるが・・・・・。

 



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