紀州の うまいもん




 職場の親睦旅行で、和歌山の白浜温泉に行った。南紀は温暖な気候で、蜜柑の名産地である。海沿いの山の斜面にはびっしりと蜜柑の木が植えられてあり、また南部の梅林に代表されるように、各地に梅の木が栽培されている。

 もちろんその蜜柑と梅干しはうまい。だがその他にもうまいものはたくさんある。そこで今回の旅行で味わったうまいものを、3つばかり紹介したいと思う。


 中国道から近畿自動車道、阪和道、海南湯浅道路を乗り継ぎ、一路、白浜温泉に向かう。今回は車に乗せてもらっての旅である。いつもの90ccの性能を限界まで使っての過酷な旅ではないどころか、助手席で缶ビールを片手に、景色や談話を楽しむといった極めて楽な旅である。気候は南紀特有の温暖な天気で、まさに快適そのものである。

 まずは温泉について。「崎の湯」という海に面した無料の露天風呂に行くつもりだったのだが、ぎりぎりのところで時間切れになってしまい、おばちゃんに粘ってみたが、かたくなに断られてしまった。融通のきかないおばさんである・・・。 ここはかつて、吉宗公御召湯だったそうである。何とも残念だったが、次回の楽しみにしておこう。そこで「牟婁の湯」に行くことにする。 「日本書紀」や「万葉集」のなかにも登場し、 かつては斉明、天智、持統、文武天皇をはじめとする多くの高貴な方々が入られたという、1300年余りの歴史を持つ源泉だそうである。湯は良かったが、なんとなく普通の銭湯っぽいところであった。

        

「牟婁の湯」ここには2種類の湯がある。 土産のはずが・・・・。



 そこから宿に向かう途中の酒屋で買ったのが、純米酒『紀伊国屋文左衛門』である。 いかにも紀州の酒といった名前である。この人物は嵐をついて江戸に紀州蜜柑を運び、莫大な財を築き、「紀文大尽」と呼ばれたらしい。そして今回のようなリッチな旅にはふさわしい酒に思えたので迷わず購入する。実は土産に買ったつもりなのだが、帰宅した時には半分になってしまっていた……。深夜までグビグビとやっていたのである。 しかし気持ちが大きくなってはいても、紀伊国屋文左衛門のように、小判をばらまくほどの甲斐性もなければ経済力もあるはずがない。まあ、酔いの中だけで、ほんのひとときを楽しむ中流階級の小市民である。 味はすっきりとしたキレのあるものであった。


 夕食は『クエづくし』である。 「九絵」とか「九江」とか書くらしいが、そもそもは磯釣りの最大の対象魚で、2メーターぐらいにもなるそうである。関東方面ではモロコというらしいが、モロコといえば関西では琵琶湖の名産の淡水魚をさし、わずか10cmぐらいの魚である。淡水魚の中ではきわめて美味なもののひとつである。それはともかく、クエは絶品である。歯ごたえはもう魚ではない。鳥か獣の感覚である。鍋はもちろん刺身やタタキ、洋風の料理にしても非常においしい。そしてクエのヒレ酒も香ばしくて旨かった。 あまり市場には出回らない魚だけに、このあたりに行かれたら、是非とも賞味されては、と思う。

クエの鍋と刺身 氷が涼しげでしょ。 昆布締め 定番の鍋  やはりこれが旨い



 次の日、土産に買ったのは、『ウツボ』である。ウツボとはあの海のギャングで、面構えからしていかにも悪役の人相をしており、姿がまた、絶対に好きになれないスタイルである。ぶっといウミヘビとでも言ったらいいのか…。鋭い牙を持っていて、夜中に眠っている魚に襲いかかる獰猛な奴である。よくタコと対決する姿がテレビに映されている。それを細かく切って、醤油・砂糖・蜂蜜・みりんなどで、香ばしく味付けしてあるのだ。こうなってしまったらあのグロテスクなイメージはなくなり、酒の肴にぴったりである。袋には船の名前と最高級珍味と書いてあった。店の人が言うには、強精効果もあるとのことである。 まだまだ私はその効果を望むほど衰えてはいないが、なんとなく全身が、元気になりそうな気になった。

クエのタタキと洋風なんとか…… こうなったら、あのウツボも美味!



 温暖な気候と黒潮の幸。そして温泉・・・。慰安旅行には最適の場所である。

 



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