清酒 『武蔵の里』




  岩魚やアマゴを求めて山岳地帯を訪れると、必ずと言っていいほど、地酒の看板を目にする。   渓流魚は雪の多い奥深い山の、清冽な流れに棲む魚なので、そういった環境はおそらく酒造りにも   適するからだろうと思う。結構目に付く。自分としても嫌いな方ではないので、というより大好きなので、旅先で珍しい酒を買ってくることが多い。


 この酒もそんな旅先で見つけた酒の一つである。名前は『武蔵の里』というのだが、この酒は岡山県の大原町でつくられており、その作州美作出身の有名人が宮本武蔵である。吉川英治原作の『宮本武蔵』によると、生涯六十数回に渡って真剣勝負をして一度も負けたことがなく、京の吉岡清十郎・伝七郎兄弟に勝ち、吉岡一門との一乗寺下がり松で戦い、宝蔵院の槍、鎖鎌の宍戸梅軒たちとの決闘を経て、あの佐々木小次郎と巌流島で戦って勝利した人物である。また、彼は讃甘神社の祭りのとき、その太鼓のばちから、二刀流を開眼したといわれている。この町にはその神社や武蔵生誕の地、武蔵の記念館や現代的なクアハウスがあり、山一つ越えたところにある兵庫県の平福には、武蔵最初の相手である有馬喜兵衛との決闘の跡地がある。


 彼はただ単に強かっただけではなく、書や絵画にも親しみ、ただ殺戮するだけの剣ではなく、剣を通して世を治めるといった、高いレベルの兵法を極めた人物であったらしい。 一時、日本経済が世界を制す勢いであったとき、外人さんが武蔵の残した『五輪の書』を見て、これが日本の強さの秘密だと、言ったとか言わなかったとか・・・。よくは知らない。



 そんな岡山の落ち着いた町、大原町で見かけたのがこの『武蔵の里』だった。僕が買ったのはその中の山廃仕込みというものであった。釣りから帰ってから、釣ったアマゴを塩焼きにして、それで一杯やる。すっきりとした味わいだと思う。決して利き酒などをできるほど、敏感な舌を持ち合わせてはいないが、うまいと思った。作州アマゴはうまいと昔からいわれているらしいが、それとぴったり合うようだ。やっぱり同じ水で育った魚と酒は、いい相性なのかも知れない。

 僕も武蔵にあやかって、武蔵同様、求道者になろうかな? といっても何を求めようかな・・・・。 仕事かな? それとも遊びかな?   

 などといった、訳のワカランことを考えはじめた頃には、十分、酔いがまわってきており、瓶は空いてしまっていた・・・・。 



  

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