キス天・キスしゃぶ・カルパッチョ


 しゃぶしゃぶを始め、鍋料理は冬のものである。肉類を使ったもの、魚介類をふんだんに入れたものなどいろいろなものがあるが、当然、魚は旬のものを用いるから冬の魚となる。最近は旬というものがなくなり、スーパーで季節感を感じることはまずありえないが、海の中にはいまだに厳然として旬が存在する。ちなみにキスは夏の魚で、夏になったら接岸し産卵する。当然そのときがいちばんおいしく、『6月のキスは絵に描いたものでも食え。』というほどうまい。


 ということは、キスしゃぶをしようと思えば夏がいい。というより、釣ってきたキスをしゃぶしゃぶにするには夏しかあり得ないということになる。夏しか釣れないもんね。それも相当な数が釣れたときしか不可能である。ある意味で、究極の贅沢かも知れない。


 この夏、それをする機会に恵まれた。夜明けから2時間程度で、それも投げ釣りで80匹が釣れたのである。瀬戸内では船でもなかなか釣れないんじゃないかな? それもサメ騒動で遊泳禁止となっていた鳥取の海でである。その日の夕食はキスしゃぶキス天に決まった。


 まず下処理であるが、頭を落として背開きにする。小さい魚であるから、普段使ってるナイフで充分である。延々とその作業が続く。まあ、釣ってきた魚を家族に食べていただくには、これぐらいの我慢は仕方がない。ここで文句を言ったら、釣りそのものを禁止されてしまうかもしれない。黙々と作業をこなす。


 さて天ぷらだけは嫁さんにあげてもらう。こればっかりはちょっと素人には難しいもんね。釣れた80匹のうち、およそ30匹から40匹の小ぶりのものが天ぷらになった。これはもう絶品である。やはり釣りたての揚げたては最高である。口の中でとろけるとは、こういう感触をいうのであろうか? 今までいろいろな魚を釣ってはきたが、唯一、我が家で喜ばれるのはこれである。さすがにさかなへんに喜ぶと書くだけあって、鱚は皆に喜ばれる。それは子供達の食べっぷりにもあらわれていて、みるみるうちに無くなっていく。おとなげないが息子と取り合いをして食べたが、私の口に入ったのは数匹であった。


 あとは本日のメインであるキスしゃぶである。極力シンプルに昆布だしであとはわずかの野菜のみで食べる。素材がいいからそれで充分である。淡泊な味は、いくら食べても腹につっかえない。さっと火を通し、ポン酢でいただく。酒が進み、心地よい満腹感を覚えた。


 というわけで、朝釣ってきたキス80匹は、大人2人、小学1年生の息子、3歳の娘の胃袋にすべておさまってしまった。釣り師としては最高の締めくくりである。満足満足・・・・・。



 ところで、偶然にもこんなに釣れたので、これだけで十分だったのだが、そこは自然相手の釣りだけに、確実に釣れていたとは限らない。そんな時のために予定していたのがカルパッチョである。

 もともと野外料理は好きだけど、面倒な料理はしたくもない。最近の野外料理の本はほんとにそこは野外?、といいたくなるような凝ったものが紹介されている。そりゃ好きな人は好きにすればいいが、わざわざ何グラムかを測ってするような料理なんて、私にはとんでもない。シンプルに豪快に。これでいいのである。


 今回のカルパッチョは売れ残りの刺身の盛り合わせを買ってきて皿に並べ、それにタマネギと大葉を刻み、うえからオリーブオイルバルサミコ酢をかけて、あとは粉チーズをかけてできあがり、というものである。調理時間わずか5分。(調理というほどでもないか・・・) これが結構うまいのである。


 特に、オリーブオイルとバルサミコ酢は、普段使うことがまずないので(我が家の鬼嫁の料理では)、これを使うことにより、ちょっとしたイタリア料理だなあ、という気分にひたれる。絶対におすすめである。
                                                  (2001年8月17日)


 



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