山の幸を喰らう

釣りで求めた山の幸




 冬場に山の魚を求めるとなると、管理釣り場に行くしかない。たいがいの県には条例で禁漁期間が定められているので、お縄になりたくなかったら、これしか手だてはない。そこで、早春の渓流を待ちこがれながら、トレーニングがてらに出かけた。大勢の仲間と繰り出し、たき火に当たったり鍋をつついたりしながら酒を飲む、といった楽しみもある。ほんとはそっちがメインかも?


 ところで、山奥に行けば山奥にしかないものがある。普段は見られないもの、口にできないものである。今回は珍しいものを手に入れることができた。

 狂牛病の影響で、牛肉の消費が激減している今日この頃、我が家でも、まずは大丈夫だとは思いながらもやはり敬遠してしまいがちで、特に内臓関係はやっぱり二の足を踏んでしまう。もともとたいした脳みそじゃないけれど、やっぱりスカスカになったら恐ろしいもんね。
 そんな矢先に、ある肉屋で見つけたのが、猪肉のレバーである。これなら狂牛病の心配はないだろう。

 これはアマゴ釣りの帰りに通過するある宿場町の、ある肉屋で見つけた。このあたりはかつては因幡街道の宿場町として栄えたらしいが、今は智頭鉄道が通って便利になったものの、昔ながらの町並みが残っていて、小京都を思わせるところである。


 さて、その猪肉レバーだが、なんともグロテスクである。切ると包丁とまな板には、どろっとした粘りのある血がへばりつく。こんなもの食べたら、ゲテモン食いである。赤黒くぬたぁ〜とした姿には、どうも食欲がわかない。でも買ってきたからにはやはり食べなくてはもったいない。いろいろと料理方法を考えてみる。


 まずは普通に焼いてみる。ヌルヌルの気色悪い物体も、焼けばだんだんと牛レバーの様相になってくる。一切れ味見をしてみたが、全く臭みもなく、結構いける。次に嫁さんにショウガと一緒に煮てもらったが、これもモツ煮と同様で、かえって牛よりもクセが無く、美味である。

 もちろん釣りに行ったのだから、アマゴはたっぷりある。定番の塩焼きと、大好きな唐揚げにしてもらった。そこにたまたま、嫁さんの母親がやってきて、甘露煮にしてくれた。山の幸が勢揃いしたことになる

 さっそくビール片手に、やりはじめる。まずは猪肉レバーの煮物。適度な歯ごたえがあり、かみしめるほどに深い味わいがある。 次に焼き物。牛レバーとほとんど変わらないが、それよりもうまいのでは? 気のせいか、野生のパワーが急に血管の中に流れ出したかのような感覚にとらわれる。 野山を闊歩してきた森の王者の肝臓を食っているのだから、きっとパワーがみなぎるに違いない。(俺って単純な人間かな?)


 次にアマゴの甘露煮。『渓流の女王』とよばれるこの魚は、美しい魚体にパーマークという美しい斑点を持ち、おまけに鮮やかなレッドの宝石のような斑点をちりばめている。サケ科の魚で、食べても淡泊で上品な味をもっており、これを甘辛く煮付けてある。これは定番の料理法だが、やっぱりうまい。この魚は『アメノウオ』とも呼ばれ、うまく煮たら骨や頭までも気にせず食べられる。そして塩焼きと唐揚げ。それぞれ違った味が楽しめて、同じ魚でも料理法によっていろいろな顔を持つようで、それぞれが楽しめる。


 これに山菜の天ぷらや煮付けやおひたしがあって自家製の漬け物でも添えれば、山の一軒宿の料理に少しもひけをとらないのではないか。 ということで、山の幸づくしに舌鼓をうっているうちに、だんだん体の心底から熱くなってきた。心臓がドクドクと早鐘を打ったようになり、汗が噴き出してきた。 やっぱり野生のものにはこんなにパワーがあるのかとびっくりしたが、考えてみればここまでくるにあたり、いったい何本のビールと酒がカラになったことか・・・・・。きっと本当は酒のせいで、体がほてってきたにちがいない・・・・・。


猪の肝臓を食って、自分の肝臓を痛めつけてる。いやはや何とも矛盾した話である。(2002/2/8)


山の幸・・・・・食べかけの写真ばかりですみません。



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