豪華な五目釣り


  酷暑だった今年の夏も、ようやく秋の気配が感じられるようになった。8月の31日、世間では学生さんは夏休み最後の日である。今年は9月1日が日曜日だから、まあもう1日あることになるのかな。1日休みが増えて喜ぶべきか、はたまた月曜始まりの新学期は、地獄のように長い1週間を耐えなければならないので、かえって辛いと言うべきか・・・。どちらがいいかは一概には言えないようである。まあ、社会人である我らには関わりのないことである。私はその貴重な休日に釣りに出かけた。


 場所は日本海のある漁港である。台風の影響もあって風と波がきつく、やはりこのようなときは場所が限られる。わざわざ休日に、辛い目を堪え忍んで釣りをする気は毛頭無いので、こんな日のために普段から風裏になると予想していた釣り場に向かう。着いてみれば案の定、そこはおだやかで十分釣りを楽しめそうである。さっそく支度をする。


 今回はのんびりすることだけを目的にしているので、神経を使うことや労力が必要な釣りをするつもりは全く無い。だから老若男女誰でも楽しめるサビキ釣りをすることにしている。それも上にポッカーンと浮かぶ大きな浮きをつけ、のんびり眺めるようにした。そして本来はアジやサバを狙う仕掛けなのだが、その疑似餌の部分にオキアミをつけて、全体に太仕掛けにする。つまりこうすれば本命のアジだけではなく、何でも食いついてくるはずである。そして本命のアジにはちょっと太すぎる仕掛けだから、小型のアジは釣れないかもしれないが、ひょっとしたら嬉しい外道が釣れるかもしれない。そもそも『本命』『外道』なんて区別するような高級な釣りをするつもりはない。『チヌ』釣りに出掛けて『真鯛』が釣れた時、「これは本来の目的の釣魚ではなく、外道だから」と言って海に帰す場面をテレビで見たことがあるが、私にとってはとんでもないことである。「そんなもったいないこと、ようやるわ!」と思ってしまう。でも一度人前でそんなことを、これみよがしにやってはみたいとは思う。たぶん、いや絶対にできないだろうけどね。


 といった感じで、のんびりとポッカン浮きを眺めながら、楽しいひとときを過ごす。釣れても釣れなくても、どっちでもいい、海の音を聞きながら日頃の心の垢が落とせれば・・・。といった非常に崇高な精神で自然に親しんでいた。釣果もアジを中心に、いろいろな魚が私を退屈をさせることなく楽しませてくれる。グレマダイイシダイといった、名前だけ聞いたら磯の上物、底物、そして魚の王者といっていいような、豪華な魚たちが釣れてくる。といっても数年後にはそう呼べるような稚魚ばっかりである。「もう釣られるなよ。もっと賢くなれよ。」と言いながら海に返してやる。そして南蛮漬けにしたらうまそうなアジだけをクーラーにおさめる。


磯の上物 『グレ』

磯の底物 『イシダイ』

魚の王様 『マダイ』


 なんとなく僕って優しく、そして高尚な釣りをしてるなあ、と自己満足に浸っていたとき、たまたま通りがかったおっちゃんが、「兄ちゃん、そのアジを餌にして、ヒラメ狙ったらどないや? 昨日は何枚も釣れとったで!」・・・。やっぱり私には無欲で煩悩の無い境地なんて無理なんでしょうねえ・・・。さっそく生きたアジの背中に針をつけて海に放り込んだのであった・・・・。

 そして予想通り、欲むきだしの釣りには釣果ゼロ・・・。アジだけがたくさんクーラーにおさまっていた。

 

 

                    



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