冷夏の影響?
(鳥取のキス  8月6、7日



 今年は冷夏である。7月いっぱいまで梅雨を引きずり、その後いきなり猛暑となったものの、すぐにこの時期としては珍しい台風がやってきた。それも超大型の台風で、日本列島を総なめにして甚大な被害をもたらすようなヤツである。おかげで一年で一番暑いはずの時期に、たいして気温があがらず、盆の頃には「9月下旬から10月下旬なみ」と報道されるほど、涼しい夏となった。よくニュースでは1993年以来、といわれているが、久々に過ごしやすい夏である。そのため、米や野菜・果物類の収穫に大きな影響が出ているらしいし、エアコンやビールの売りあげが相当落ち込んでいるとのことである。もちろん海の家も大打撃のようである。


 そういうわけで、ちょっと異常な今年の夏ではあるが、今年も例年のごとく釣行した。もちろんこの時期のターゲットはキスである。日中の暑さをのぞけば、釣って良し、姿形良し、もちろん食べて最高のキス釣りは、釣りをする人であれば嫌う人はいないのではなかろうか? 文字通りさかなへんに「喜」と書く魚である。鳥取のある海水浴場に出かけていった。



 まず8月6日。日中は海水浴客でにぎわう浜で竿を出す。時刻は夜明け前。 波はおだやかで、絶好のコンディションである。胸をワクワクさせながら第1投。今年初めての投げ釣りなので、まずは力一杯遠投する。白い砂浜から水平線めがけて、めいっぱい竿を振る。これだけでも爽快な気分になる。そしてゆっくりとリールを巻き上げる。「アリが歩くスピードで」と言った人もあるらしいが、海底の様子を探るつもりで、手と竿先に神経を集中する。『う〜ん。このあたりが深みになっているな。』とか『このカケアガリが絶好のポイントやで。』とか、一丁前に自分自身に講釈をたれながら、浜まで巻き上げてくる。大きなあたりは感じられなかったが、小さなヤツが食いついているかもしれないと期待しつつ、波打ち際にゆっくりと浜へ引きずり上げた。 残念ながら今年の第1投は不発であった。引き続いて第2投。同じように頭の中ではカケアガリのポイントで、大きなキスがとびついてくるのをイメージしながら、ゆっくりとさびいた。またまた不発…。 ふと縁起でもないことが頭をよぎるがまあ、まだわずか2投である。こんなことぐらいで弱気になる必要はない。ところが……。

 何投、何十投しても、全くあたりすらないのだ。エサもほとんどきれいに残ってくる。毎年この時期にこの辺りで釣っているのだが、こんなことは初めてである。エサ取りのフグが多くて釣りにならないときはあったが、日中の太陽が真上に上がってるときならともかく、朝日を見ながら釣っているときに、エサがそのまま残るなんてことは、いまだかつてなかったのである。

結局一匹も釣ることなく、納竿した・・・・・。 あほくさくて、ビールをかっ喰らって寝た。



 翌朝、また同じ時刻に同じ場所にやってきた。このあたりが私のへそ曲がりのところである。 普通なら違うポイントを探すだろうなぁ。昨日、地元の人何人かに聞いたところ、誰もがみんなサッパリだったようである。 子供の頃からこの辺りの海を遊び場にしていた人や、かつては漁師をしていたおじいちゃんが言うのだから、やっぱり昨日はダメだったんだろう。なんというか、妙な安心をしたのであった……。やっぱり今年は、どうもおかしいらしい。やっぱり冷夏の影響か、まだまだキスも小さくて、そして食いも悪いとのことである。 おそらくきっと2日連続のボウズ記録更新となるんだろうなぁ・・・。


 ところがである。きたきたきたきた・・・・、第1投目からいきなり3本針に3匹である。それもそこそこのサイズで決して『ピンギス』とは言えないような、堂々とした魚である。天ぷらには最適サイズである。それからあとは釣れるわ釣れるわ・・・。すべて3本針に3匹のパーフェクトとまではいかないが、良型のキスが次々に釣れてくる。そのなかには明快なあたりで、心地よい引きを楽しませてくれる25センチ級の大物もいた。それが朝日が昇り、だんだんと日が高くなっているのに止まることはなく、11時頃まで釣れ続いたのである。みるみるうちにクーラーはいっぱいになり、まるで昨日のことがウソみたいであった。

   天ぷら・刺身・塩焼き・キスシャブ……。冷酒でキュッ!



 およそ3桁の良型のキスを釣り上げて、兵庫県の我が家へと車を走らせた。 ピンギスはほんとにわずかである。天ぷらでも刺身でも、塩焼きでも何でもいける。頭の中ではいかにして飲むかを思い描きながら、国道9号線を南下する。

 でも考えてみれば不思議なものである。時刻も場所も天候も、まったく同じである。昨日と今日との違いだけで、クーラーの中身は大違いである。でもこれがやっぱり自然相手の遊びなんでしょうなぁ…。きっと海の中での魚の世界では、人間にはさっぱりわけのわからないことが繰り広げられているのでしょうなぁ・・・・・。 ひょっとしたら、これも冷夏の影響なのだろうか?


 難しいことを考える脳ミソは持ち合わせてはいないので、単純に爽快だった今日の釣りを思いだしながら運転していた。そういえば今日の最後の釣果は・・・。最後の最後に思いっきり大きなアタリがあった。手元にガツンと来るアタリで、針掛かりしたあとは強烈な引きを見せた。キスならおそらく尺物だろうし、ひょっとしたらスズキかもしれない。キス釣りの外道にスズキが来るということは、ちょくちょくあるらしい。またひょっとしたらチヌか? このあたりは結構チヌ(黒鯛)の魚影が濃いそうだし。それとも釣れたキスにヒラメが飛びついたか・・・・・。どれにしてもキス釣りに来たからには外道かもしれないが、そんなこだわりを持っていない私にとっては、どれであっても本命のキス以上に嬉しい魚ばっかりである。はたして正体は?


 波打ち際まで引き寄せたとき、大きな魚体が見えた。50センチ以上はありそうな大物である。魚体からすればヒラメではなさそうである。ではチヌかスズキか? そいつが必死に抵抗している。 ここで糸を切られたりしたら元も子もないので、慎重に寄せてきて、砂浜にずり上げた。すると・・・・・。


 なんとそいつはボラだった・・・・。それも巨大なヤツが……。     (鯔……。)
夏のそれは特に磯臭く、ネコもまたぎかねないとされるボラだった…。
釣りの話は話すたびに大きくなっていくといわれるが、いくらなんでもこれでは『ホラ』も吹けない…。(ヘタなシャレ……。)




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