秋のハゼ


 天高く馬肥ゆる秋である。といっても今年は記録的な台風の当たり年で、各地に膨大な被害をもたらした。そんなときに不謹慎ではあるが、その合間を縫って釣りに出かけた。


 釣行したのは10月18日の月曜日である。諸般の事情があって平日に願ってもない休みが取れたので、これはもう行くしかない! 今回はのんびりとしたひとときが堪能できるであろうと思い、河口でのハゼ釣りに行くことにした。実はそれ以外にも理由があって、なぜか無性にハゼが食べたくなったのである。最近なぜか食の嗜好が変化してきたようで、たらふく焼き肉を食った後はどうも胃がもたれる。そしてなぜか時折、無性に漬け物や佃煮で白いご飯が食べたいと思うことがある・・・・。別に何度も「なぜか」とことわる必要もない。ただ年を食っただけのことなのだが・・・。ということで、「自家製ハゼの佃煮」を目標に出かけたのである。


 その日は快晴、雨男の私にとっては滅多にないことである。ハゼ用の簡単な仕掛けを手に、とある河口の砂浜に立ち寄った。私以外には誰もいない。のんびりと仕掛けをセットして海に放り込んだ後は、今度は自分自身のエサをセットして、まずは缶ビールに手を伸ばす。いいねぇ、こんなのんびりした釣りも・・・。


 そんな矢先、さっそくブルルンッという、こ気味良い魚信が伝わってきた。今回は竿も手軽なものを使っているため、このような小魚のあたりも鮮明に感じられる。釣り上げてみると、22センチの結構いい型のキスであった。まずは目的の魚とは異なる「外道」のキスである。ハゼ釣りに来てキスを釣っても意味がない・・・・。なんてことは私にはあり得なく、そのキスの美しさをじっくり眺めてから、クーラーに納める。 キスも夏場と違ってこの時期ともなれば、かなり肉厚のしっかりしたサイズになっている。天ぷらよりも塩焼きに向いている。


 そしてキスをもう一匹追加したところで、今回の本命の「ハゼ」君が手元に心地よい魚信を送ってくれた。シャープさはないが、グリグリとした感触のアタリを楽しみながら釣り上げると。20センチ弱のハゼドンである。なんともまあ、愛嬌のある顔をしている。頭のてっぺんにちょこんと寄り目があり、それでこっちをキョロッと睨んでいる。本当は俺を釣って食う奴を最後に一目睨んでやろうとしているのかもしれないが、その表情を人間の感覚で見る限り、なんとも愛嬌を振りまいているかのように見える。決して美人ではないが、愛嬌と味がある人気者のようなタイプなのであろう・・・・・、 と勝手なことを思いながらクーラーに納め、目的達成祝いに、またまた缶ビールをプシュッ・・・。平日にこんなにのんびりした釣りをしていたら、自然と心の垢がとれてしまうようである。


待望の ハゼドン


 その後、気のよさそうな地元のオジサンがやってきて、一緒に竿を出す。二人でポツポツと追加しながら、たわいもない釣り談義に華を咲かせる。 

ここでのんびりと釣りを楽しむ・・・・。


 釣果としては結構いい型のキスとハゼがそろったが、小さな河口のことなので数はあんまりでなかった。腕のせいかもしれないが…。 だから佃煮にするよりも天ぷらにする方が良さそうなので、帰宅してから台所で背開きに取り組む。あとは嫁さんにまかせて、できあがるのを待つ。できあがったとたん、一瞬のスキに我が家のハイエナどもが群がり食い尽くしてしまったので、かろうじて我が口に入ったのは一番小振りなハゼ一匹であった・・・。しゃあない。まあええっか・・・・・。
                                                       (2004.10.22)




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