ああ、いとしき
 サヨリちゃん・・・。




 11月も半ばとなり、秋から冬へと季節は移ろいゆく中で、今回は瀬戸内の、とある波止へとおもむいた。狙いはいかにも楚々とした可憐きわまりない、まるで貴婦人のようなサヨリちゃんである。


 そのサヨリちゃんというのは、ほっそりとした体つきにキラキラと輝く純銀のドレスをまとい、唇にはほんのりとをさし、思わず抱きしめたくなるような可憐な姿をしている。もちろん釣っても楽しいし、食ってもその淡泊な味は何とも上品である、というか気品さえ感じられる・・・・。  今回は小学5年生の息子を連れての釣行である。

                                             

 9時頃に現地に到着していたが、潮はひいておりサヨリの姿はない。まあそのうち潮も満ちてくるさとのんびり支度に取りかかる。といってもただののべ竿に浮きと針をつけただけという、いたってシンプルな仕掛けである。普段渓流釣りに使っている竿は軽いので、今回は息子に使わせてやった。そして私は小学生の時に(もう30年ほども昔の話だが・・・)誕生日祝いに買ってもらった鯉竿に仕掛けをセットする。当時はグラスロッドといえば高級品であり、飛び上がらんばかりに喜んだのを覚えている。だがカーボンロッドが当たり前の今となっては、なんとも凄まじい重さに感じられ、よくまあ小学生の頃にこんなものを使っていたもんだなあとびっくりしてしまう。


 そしてアミエビと糠を混ぜ合わせて撒き餌をつくる。エサは刺しアミである。適当にエサを撒いていると、水面下で細い魚がすばやく走るのが見え始めた。そして待望の第1号が釣れる。なんともまあ、きれいな姿である。そのほっそりした魚体をわしづかみにしてしげしげと眺めていたら、いきなり脱糞しやがった!! まあこれも愛嬌である。貴婦人もやはり生き物なんだなあと、かえって親しみが湧いた・・・・。


 そして息子の浮きにも当たりがあり、引き上げたらそれはスリムなサヨリちゃんとは対照的な、醜く太短い姿をしたフグ君であった・・・。針からはずして海に帰してやるが、なぜかその後も連続して息子にはフグばかりが釣れ、まわりから「フグ釣り名人!」とからかわれた頃には、フグ顔負けにふくれっ面をする息子であった。


 そのうちに息子にも待望の第1号が釣れた! ただ、はじめて浮き釣りをした彼は、どうしたらいいのかわからない。「とーさぁーん、たすけて〜!」と叫んでいる。そしてアワセをしっかりくれていなかったので、針掛かりも十分でなかったのか、手元まできたときにポチャ〜ンと海に落ちてしまった。地団駄踏んで悔しがっていたが、ここは親爺らしく威厳を見せて、「こうやってしっかりあわせて針掛かりさせて、そして云々・・・。」と指導する。たまには父親に敬意の目を向けさせないとね(笑)。 そして待望の第2号! 今度はちゃんと引き上げて、私の手の中に収まって、今回の息子の釣果第1号になった・・・・、なるはずであった・・・・。というのはクーラーに納める瞬間、この私としたことが、いったいどういうわけか手からスルッとすべらせてしまい、またもや海にポチャ〜〜ン!息子の怒ったのなんの、釣ったどのフグよりも見事なふくれっ面になってしまい、親爺の威厳どころか完全に信頼を失ってしまった。


 親爺としても、もしこれで終わってしまって一匹も釣れなかったなんてことになったら一生後悔することになりそうなので、自分の竿は放り出し、撒き餌をしっかり打ち込んだり息子の仕掛けにエサをセットしたりと、サポーターに徹したのであった。そのうちやっと息子にも3匹目(クーラーに収まったのは第1号!)が釣れた。今度ばかりは絶対にヘマは許されない。細いサヨリを両手でしっかりと、たとえ何があっても死んでも離さないぞといった具合に握りしめ、クーラーに納めたのであった・・・・。 周りで見ていた人の目には、鮭をつかんで離さない熊以上に必死の形相をしていたと映ったにちがいない・・・・。

  

 その後はおおきな群れがまわってきたのか順調に釣れ続き、結果的には60匹近くのサヨリがクーラーに収まった。大漁大漁! 息子にも10匹以上の釣果があり、大満足のようであった。 あ〜助かった・・・・・。



 帰ってからそのサヨリは、まずテンプラになった。なんともまあ上品な味である。いくら食ってもなんぼうでも腹におさまりそうである。そして梅肉と大葉をサヨリで巻いて、そしてバター焼き・・・・。旨い! これまたなんぼうでも酒が飲めそうである。そして塩焼き・・・・。考えてみたら今までサヨリは干物しか食ったことないなあ。そして最後にお吸い物。白い身に青い模様は何ともすがすがしく、それがくるくると巻かれて吸い物の種になっている。う〜ん、絶品! 


 聞くところによると、サヨリやキスは優雅な魚であるから、大男が口ひげそらして喰うべきものとも覚えず、とある書物に書かれているらしいが、文字通り今の私は口ひげモジャモジャの男で、それをそらして腹一杯ムシャムシャ喰ってしまった。 まあ誰が何と言おうと、旨いモンは旨い・・・・。文句あっか? (笑)。
                                                         (2005/11/20)

 
 PS  今回は前半は息子の世話、後半は入れ食い状態でカメラを手にする暇もないぐらい釣りに専念しておりましたので、画像はありません。あしからずお許しを!

 



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