キス・鱚・きす・kiss(?)・・・・・

                                        




 ここ2〜3年、鱚釣りから遠ざかっている。だが、別に飽きたわけでも嫌いになったわけでもない。たまたま一番鱚釣りにいい時期に北海道旅行に行ったりしたため、タイミングを逸してしまったというのがその理由である。今回たまたま日程に余裕ができたので、久々に日本海へ鱚釣りに行くことにした。


 夜明け頃、かつてよく行った釣りエサ店に行く。おばあちゃんが一人で切り盛りしている小さなエサ屋だが、昔ながらの風情が残っていて、私のお気に入りの店である。コンビニやマクドに代表されるように、今はどこへ行っても店員はマニュアル通りの受け答えと作り笑顔で客を迎え、客は客で一言も口をきくことなく商品をレジに差し出し、金を払って無言のまま立ち去るというのが一般化してしまったが、ここは違う。「ありゃ〜。久しぶりやねぇ〜。去年は来んかったんちゃう? 元気しとったんかいね?」から始まり、近所の話、息子の話、最近の出来事などあれやこれやと一通り話したあと、「今年のキスは、釣れる人は一杯釣るけど、釣れん人は全然ダメ!」と、やっと本題の話にたどりつく。まあとりあえず頑張ってみますということで、エサと氷を買う。おばあちゃんは気のいい人で、「おまけにいっぱい入れとくね」 と言ってゴカイをかなり多めに入れてくれた。やはり昔ながらの人情味が残っているんだねぇ・・・・。


 さて、浜に到着! 今日は多少波があり、天候も薄曇りである。仕掛けをセットするのだが、つまらないところでもつれたり、しょうもないところに引っかけたりして、どうもさい先が悪い。なかなか第1投までたどりつかない。なんとなく嫌な予感がする。「釣れない人はさっぱりダメ」とのことだから、ひょっとしたら・・・・。 そう思いだすと悪い方向に物事を考えてしまう。そういえば結構海が荒れている。キスは海が荒れるとアカンのやったなあ・・・・、とか思ってしまう。そしてやっと第1投。ゆっくりとリールを巻きながら、底の様子を観察する。そして何事もなく、というより、何のアタリもなく巻き上げてしまった。エサもそのまま残っている・・・・。そして2投目、そして3投目・・・・。


 キス釣りのセオリーに「足で釣れ」というのがある。あちこち歩き回ってその日のポイントを探して釣果を上げよということだが、それが頭をよぎった。ここは諦めて移動しようと思った矢先、やっと第1号のピンギスちゃんが、錘のあとをついてきてくれた。きれいなキスである。やっと釣れた第1号・・・・・。しげしげと眺めてからクーラーに収める。ちっちゃいけどテンプラにしたら最高のサイズである。


 最初はこのような感じで、何投かに1匹がポツポツ釣れる状態で、移動するに移動できないといった状態がしばらく続いた。

久々のキス釣り。やや海は波が高い・・・・。


 そうこうしているうちに、どこかのおじいちゃんが近くで釣りはじめた。広い砂浜なんだから、もっと離れて釣ったらいいのに!と思いながら続けていると、どうもポツポツとそのおじいちゃんには釣れているようだ。なんともけったくそ悪いなあ、と思いながら、半分意地でその場所で釣り続けた。そのうちに大きなアタリがあり、ひきよせてみるとどうもキスではない。かなりの大物である。砂浜にずりあげると、それはスズキであった。まあスズキというのは間違いで、せいぜい「ハネ」レベルであったが、今まで釣ってきたキスに比べれば超大物である。いかにもどう猛な面構えで、大きな口を開き、でっかい目で「何すんねん!」といった表情で睨みつけてくる。おそろしや!でも勝者は私である。軍手でがっちり捕まえて、クーラーに収める。


 その後、それが関係するのかしないのか、ポツポツと大型のキスが釣れ始めた。塩焼きにピッタリのサイズである。隣のおじいちゃんにと競争するかのように、お互い順調に釣り続けた。


 その後、おじいちゃんが納竿した。日差しが強くなり、ここらあたりが潮時だと思ったのだろう。私も額の汗をぬぐいながら、そろそろ終わりにしようかなと考えた。こう、お日様が高くなったら、どんな釣りでも魚の食い気は落ちて釣りにならないものである。そのうちに、おじいちゃんはどこかへ去っていってしまった。


 ふと、そこで気になることが一つあった。エサである。まだまだたっぷりある。よりによってエサ屋のおばあちゃんの好意で、普段よりはるかに多く残ってしまっている。まあ、そこそこ釣ったんだから、お礼に海のお魚さん達に寄付してやるつもりで餌を撒いて帰ったらいいのかもしれないが、そう思いかけた矢先、非常に良型のキスが3連で釣れたのである。本当に気持ちよいアタリと引きであった。そしてこれをきっかけに釣れるわ釣れるわ・・・。まさに入れ食いとはこのことで、「足で釣れ」とか「アリが歩くようなスピードで引け」なんてセオリーは全くクソ食らえで、エサを付けて放り込んで巻けばアタリがあって釣れる。それもいい型のが・・・・。相当いい群れが接近したようである。あれよあれよという間に、そのたっぷりあったエサが見る見るうちになくなっていく。そしてクーラーはそれと反比例して、ずっしりと重くなっていく・・・・。


結果は釣りも釣ったり、 束釣り(3桁の釣果をあげること)を達成した・・・・・。

ハネ! スズキにはほど遠いが大物! 束釣り!


 帰宅途中の道の駅で、地の野菜をあれこれ買い込み、今晩はテンプラパーティーをすることにする。 嫁さんの実家で総勢11人が集まり、揚がるのを待ちかまえて箸を出す・・・・・。すべてのキスと1匹のハネが、きれいにみんなの胃袋におさまった・・・・・。


 やっぱり釣りは、美味しく食べてやってこそ、その釣りは完結する。  そういった釣りを、私はこれからも目指す・・・・。

                                                      (2007.8.24)

 



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