今年の岩魚の釣りおさめ

                                        




 今年の渓流釣りもそろそろ終盤を迎え、今月末で禁漁となる。そしてあとは、長い長い禁漁期間となる。シーズンを振り返ってみると、こと渓流釣りに関しては、今年は全くつまらない年であった。出だしは絶好調で、3月1,2日と休暇を取って、解禁当初から連チャンで楽しむことが出来た。だが、それから急失速し、ポツポツと釣行を重ねたものの、充実した釣りはできなかった。もちろん釣った数や型のことだけではない。たしかに数や型も良くなかったが、どこか釣っていて楽しくはなかったのだ。まあその原因はいろいろ思い当たるが・・・・。


 そんな矢先に友人のI氏からから「今度の週末、何とか都合がつかへんか?」と連絡が入った。この友人とは学生時代からのつきあいで、ともに渓流釣りを趣味とする親友である。ただ渓流釣りに関しては私の師匠にあたるのがややこしいところで、先輩風を吹かせたいI氏と、かつては手ほどきを受けながらも、今や実力も経験も釣った尺物の数の上でも遙かに勝っている(?)と自負している私とでは、当然けなしあい、足の引っ張り合いが起こる。だからといって、やはり20数年来のつきあいだから、お互い何を言っても何をしても喧嘩になることはない。もちろん最低限のマナーやルールは、お互い意識しなくてもわきまえているけどね。



 なんとか仕事の都合がついたので、夜中の1時に待ち合わせて出発する。今回はI氏の上司が同行した。その人は、源流釣りは初めてとのことだった。現地について夜明けを待ち、行動を開始する。今日は3連休の3日目なので、おそらく昨日一昨日と釣り人が入ったに違いないから、かなり厳しい状況が予想される。だから今回は少々ハードだが、いくつか滝を巻いて、かなり奥深いところまで攻める予定である。


 ところで開始早々、いきなりI氏が足を滑らせ、淵にドボンとはまってしまった。それもみごとな撃沈ぶりである。何とも言えないほどの無様な姿でひっくりかえり、頭のてっぺんからつま先までびしょ濡れになった姿は、失礼だとは思いながらも、笑いをこらえることは不可能で、大爆笑してしまった。そして「お前、笑いすぎじゃ〜!」と地団駄踏んで叫ぶ姿が、より一層の笑いを誘ってしまう。いやぁ、谷底で久々に大笑いをさせてもらった。


 だが予想通り、肝心の釣りそのものはなかなか厳しく、滅多にアタリはない。ここぞと思うポイントほどアタリはなく、完全に釣り荒れてしまってるといった印象だった。そして大場所では、ブドウ虫ミミズなど、色々なエサを試してみたが、どれもさっぱりだった・・・・。そして道なき道・・・というより崖や薮を、草や木を頼りに四つんばいになってよじ登り、さらに上流を目指す。もしここで足を滑らせたらおしまいやなあ、といったところを慎重に通り過ぎなんとか竿を出す。初心者の上役さんは、もう何度も滑り落ちそうになりながら、必死で岩にしがみついていた。我ながら、なんでよりによってこんなことをしてるんかなあ、とか、何が楽しくてこんなしんどいことやってるんや、と思ってしまう。たかだか大きくても30センチ程度の小魚を釣るために、わざわざこんなことをしている自分がアホらしく思えてくる。そしてまたまたI氏が、こんどは岩に蹴つまづいてひっくり返る・・・・。今回は弁慶の泣き所を思いっきりぶつけたようで、さすがに爆笑はできなかったが、クスクスとは笑ってしまった。それにしてもバランスの悪い奴やなあ・・・・。かつては体操選手だったが、今はその片鱗すら見受けられない。

I氏と上司 ここにてドボン・・・・。


 そして釣果は・・・・。私は6本キープした。だがその中には、小さいのが2匹混じっていた。もちろん小さいのは逃がしてやるのだが、針を奥深く飲み込んでしまって、たとえ逃がしても生き伸びられそうにないものは、有り難くいただくことにしている。実際は逃がしても死んでしまうのに、格好だけリリースして罪滅ぼししたつもりの自己満足なんて意味ないからね。I氏もどうやら、何度も幼児虐待をしたようである。私と同様の、チビチャン混じりの釣果であった。ただ、私の方が若干ではあるが、数も型も上回っていた。いやぁ、いい気分やねぇ・・・。完全に差がついてしまったら悪いような気になるし、逆に負けたらとてつもなく悔しい。お互いそこそこ釣れて、ちょっとだけ自分の方が上回っている・・・・、これが最高だろうね(笑)。


 さて、かなりの奥まで入り込んだのに、それほどの釣果はない。さらに奥へと思っていた頃、空が、一転にわかにかき曇り・・・・といった具合になってきた。もしどしゃ降りにでもなって、水かさが一気に増えれば大変なことになる。かつて一度そういうのを経験しているだけに、その恐ろしさは十分にわかっている。 ということで納竿とする。予想通り水かさは増え、濁りが入りだした。急げや急げということで、ゼエゼエ言いながら崖をよじ登り、そして滝を巻き・・・・、ということで、やっとのことで車までたどり着いた。ただ、その直前、もうここまで来たら大丈夫だろうというあたりまで来たときに、なんとこの私が足を滑らせ大淵にどっぼーん、と撃沈したのであった・・・・・。


 朝からの恨みをここぞとばかりに、I氏は笑いに笑いくさった! おまけに「水も滴るええ男になったのぉ!」とぬかしおった! デジカメとケータイだけはビニールに入れていたので助かったが、あとはすべてビショビショ・・・・・・・・。濡れたお札では、帰りに自動販売機でジュースさえ買うことが出来なかったが、I氏がジュースをおごってくれた・・・。 やっぱりええ奴やなあ・・・・・。

滝を巻く・・・・。 そこそこのサイズ チビチャン・・・・。ごめんね。


 思うに釣りとはいったいなんなのだろう。「自然との対話」かもしれないし「日常からの解放」かもしれない。けれどもだからといって、完全に日常や人間から離れ去っているわけでもない。一緒に釣りを楽しんだ同行者もいれば、その釣ってきた魚をむしゃぶりつくようにして食べる家族もいる。また釣った魚に尾ひれを付けて自慢できる友人もいれば、ネットにアップしたら読んでくださる方々もいる・・・・。というふうに考えると、つまるところ人や日常から離れるつもりでも、結果的に釣り人は「釣り」を通してより一層、人とつながろうとしているのではなかろうか? 


 そんなことを思いながら、渓をあとにして、温泉に浸かった・・・・。3人とも筋肉痛で、動きがガチガチである。案の定、友人のI氏が湯船で滑ってひっくり返った。なんともまあ、愉快なそして無様な奴である・・・・・。

                                                         (2007.9.30)
 

 



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