海水浴場のキス




 1996年8月10日

 鳥取の、ある海水浴場でのことである。投げ釣りでキスを狙いに釣行した。いままであまりぱっとした釣果が得られなかったので、今回こそはと気合いを入れて行った。日中は海水浴場なので、釣りなんてしてたら顰蹙ものである。もちろん日中によく釣れるはずはないし、なんせ、このじりじりとした日差しの中では釣りどころではない。ビールを飲んで昼寝するに限る。

 というわけで、一番釣れる可能性が高い朝マズメを狙う。まだ暗いうちからごそごそと活動し、夜明け前から釣り始めた。およそ1ヶ月前にもやってきたのだが、そのときは全くだめで、ちっちゃいのが3匹ほど釣れただけであった。新聞や雑誌の情報を集めて、今なら絶対釣れるはずだと、ねらいを定めてやって来たからには、是非ともつれて欲しい。そんな願いを込めて、思いっきり投げた。

 仕掛けは3.9メートルの普通の投げ竿で、それに力糸と25号のテンビンとつけ、市販の3本針仕掛けをセットしただけの、いたってシンプルなものである。それにアオムシをつけて思いっきり投げた。前回の釣りでは、フグばっかりで、仕掛けをよく噛みちぎられた。今回はどうかなあ、と思って巻き上げかけたところ、いきなりプルルンとしたあたりが感じられた。引き釣りの基本通り、あわせないでゆっくり巻き上げてゆくと、砂浜の上に3匹のキスがぞろぞろとついてきた。いきなり3本針に3匹である。 『こりゃ、さい先がいいぞ』とバケツに放り込み、また遠投する。するとまたもやあたりがある。巻き上げるとまた3匹。そんなこんなで、いったい何回ぐらい続いたであろうか、パーフェクトがつづき、バケツには単純に3の倍数のキスがおさまっていった。

 いろいろ本を読んだりして知識を得ていったが、例えば「シモリを狙う」「蟻が歩くスピードで巻き上げる」 「キスは足で釣る」なんてセオリーは一切関係なかった。同じ場所にボンボン投げ込み、ぐるぐる巻き上げてもしっかり食いつく。釣れるときなんてこんなもんかなあ、とひさびさの大漁に大満足である。

 たしかによく言われることだが、日本海はあんまり潮の満ち干は関係なく、そこに魚がいるかいないかだけで決まるらしい。そうだとすれば、釣果は運だけなのか? 釣れなかったらカッカとするくせに、釣れすぎたら妙に考え込んでしまう・・・・・。変な習性である。



 その後、キス以外の外道が初めて釣れた。なんとヒラメである。それもそこそこ大きく、食卓に上っても十分おかしくないサイズである。本で読んだ知識では、ヒラメは冬の釣りもので、夏には全然関係の無い魚のはずである。右を向けたり左を向けたりして、カレイとちがうんか?と思ったが、間違いなくヒラメである。『左ヒラメに右カレイ』とつぶやきながらよく見たが、やっぱりヒラメである。まあ、カレイにしても冬の釣りものだから、釣れれば季節はずれなんだけど・・・・・。

  あとで地元の釣り餌屋のおばちゃんに聞くと、なんと鳥取では夏にヒラメが釣れるのは当たり前とのことであった。それもサビキでアジを釣って、そのままじっとしてれば、ヒラメが食いつくから簡単だよ、と教えてくれた。ところところによって、違うものである。今度一回やってみよう。


 キスはすべて背開きにして天ぷらにした。まるでお菓子のようなサクサク感があり、子供も取り合いして食べていた。ヒラメは刺身になった。日中はその場所で泳ぎ、夕食は釣った魚でビールを飲む。夜は爆睡した。

 



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