占い釣り師?




 10月の半ばに息子2人を釣れてサヨリ釣りに行った。型こそ小さかったものの、3人で100匹を越す釣果に恵まれた。小学2年生の下の息子はこんなに釣れた釣りは初めてで、嬉々としてはしゃぎまわっていた。そしてそのサヨリ達はすべて、家族の胃袋におさまり大満足であった。あれから3週間、きっと型も良くなっているだろう。たまたま明日は平日の休みである。今度は子守をすることもなく、自分が釣りに専念出来そうである。サンマと間違えそうな大型のサヨリがウジャウジャと頭の中に飛び跳ねる・・・・。


 何気なく夕刊の占いコーナーに目を通すと「ピンチが一転チャンスになる。」とあった。う〜ん、明日はどんな釣りになるのだろうか。


 やや遅めの出発だが、いつも出勤するぐらいの時刻に家を出る。いつもならネクタイ姿であるが、今日は平日ではあるものの、天下の代休日である。誰に気兼ねすることもなく遊びに専念できるのだ。なんかとっても嬉しい気分になる。そして播磨の海を目指して車をとばす。ところがいつものエサ屋さんで、エサと氷を買い込んだその時、けたたましく携帯の着信音が鳴った。それもよりによって、職場からの電話に設定している縁起でもない着信音が・・・・。ホンマにピンチの訪れである。場合によっては緊急招集がかかるかもしれない・・・・。


 幸いなことにそれだけは避けられたが、せっかくの楽しい休日気分が台無しである。でもまあ、気を取り直して釣り場へとむかう。途中コンビニでおにぎりやジュースを仕入れたが、その時くじを一回引かせてくれた。何気なく選んだくじがなんと大当たりで、アルコール飲料をもらった。お〜、占いって当たるもんやねえ・・・・。


 気をよくして釣り場に到着したとき、今度は唖然としてしまった。なんとエサと氷がないのだ! そういえばさっき釣り銭はもらったものの、職場からの電話に動揺して品物をもらってなかったのだ・・・。なんたる不覚。我ながら情けなくなったが、エサがないことには釣りは出来ない。仕方なくエサ屋さんまで引き返すことにした。またまたピンチをむかえてしまったようである。店に着くと、ちゃんと買った物はとって置いてくれたが、なんともまあ恥ずかしいったらありゃしない・・・・。そんなとき、釣り場に戻る車の中で、ラジオが占いを流していた。今日の私は、飴ちゃんを舐めたら運気が向上するそうである。 なんかアホみたいな話だが、さっきはお酒が当たったこともあるし、こうなりゃとことん信じ、そして騙されてみようかと思って、コンビニに立ち寄って飴を買う。アホな俺・・・。そうこうしているうちにも、時間は刻々と過ぎていく。


 やっと竿を出したのが、もう10時頃になっていた。予定ではこの時刻にはすでに50匹ほど釣っているはずだったのに・・・。ところが撒き餌を打っても打っても、いっこうにサヨリは姿を見せない。この前あれほどウジャウジャ湧いていたサヨリが一匹もいないのである。エサ捕りにエサをかすめ盗られることはあっても、まったくサヨリのアタリはない。ああでもないこうでもないといろいろなことを試してみたが、さっぱり釣果はない。途方に暮れたあげく、最後の手段に思いついたのが 「そうや、飴ちゃんや!」 というのが我ながら情けない。まあ苦しいときの神頼み。いっぺんに2つ、口の中に放り込んだ。


 すると効果てきめん! ものすごい勢いでウキが海中に沈み込んだ。すかさず合わすともの凄い重量感!本命のサヨリではないが、それ以上に値打ちのある魚に間違いない! と胸をドキドキさせながらやりとりしたらいきなり手元でバキッと音を立てて、竿が折れてしまったのだ。
 

 以前ある知り合いから教えてもらったことだが、播磨地方の釣り方に「二間半の釣り」なるものがある。つまり二間半(4.5m)ののべ竿で、あらゆる魚種を釣る釣り方らしい。竿1本・糸1本・針1本・・・・。この心意気がいいねぇ。 シンプル イズ ベスト である。


 まあそれはともかく、そののべ竿でサヨリを狙っているのだ。実は渓流釣りで使う竿はちともったいないと思い、子供用に買っておいた1000円のグラス竿である。2人の息子用に2本買っておいたものを使っていたのだ。言ってみれば、安物の極みである。だから仕方がないといえば仕方がないのだが、よりによってこんな時に折れるとは・・・。


 とっさに左手で折れた竿をつかんだら、なんとか大丈夫のようである。必死でやりとりして寄せてきて、なんとか取り込んだら ・・・・・・。それは巨大なフグだった。 なんやねん、こりゃ!


 いよいよほんまにピンチである。こんなにあっけなく折れる竿があと一本残っているだけで、そのうえクーラーには、まだ一匹のサヨリもおさまっていない。 今回100匹釣って帰ったら、天麩羅だけでは食べきれないから、味醂干しにする予定である。それも言わんでもええのに、職場の同僚には、手製のみりん干しをわけてあげるところまで話が進んでいる。こりゃ面目丸潰れもいいところだ。


 もう一本の竿に仕掛けをセットし、今度は飴ちゃんを3つ口に放り込み、再び釣りはじめる。だがエサも残り少なくなってきた。まわりのオッチャン達も、誰一人として釣れていない。
 

 そのときウキが沈んだ。あわせたらバッチリ乗った! そしてもの凄い引きである。さっきのフグとは全く違う、凄まじい引きである。竿でじっくり、ためたりいなしたりしながらやり取りしたが、なんせあの竿である。いつ折れるやらわかったものではない。そして仕掛はサヨリ用である。こんな奴を想定していないので、繊細な仕掛である。相手も必死で、テトラの方へ向かって全力で走ったり、突然向きを変えたりして逃れようとする。


 時間にしていったいどれぐらいが経過したのか・・・。自分ではさっぱりわからないが、やがて海面にその姿を現した。グレだ! それもどでかいのが!


 まったく想定外だったので、タモ網も持っていない。なんとか抜きあげるしかない。ということで、一か八か、竿の弾力を利用してえいっとばかり抜きあげた。ここで予想通りではあるが、恐れていたことが現実になった・・・。今度は竿の中ほどで、バキッと音を立てて折れてしまったのだ。でも先ほどのフグが参考になっていたので、なんとか無事に取り込める場所に引きずりあげたので事なきを得た。そして32センチのグレを手中にしたのであった・・・。「ピンチが一転チャンスになる。」まさに飴ちゃんパワーとあいまって、大満足の釣りとなった。


 ちなみにその折れた2本の竿は、それぞれ生き残った部分を組み合わせたら一本の竿ができあがり、一匹のセイゴとウミタナゴを仕留めてくれた。まだまだ現役で頑張ってくれそうである。

             
                                                        (2008.11.15)





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