酷道(国道)トンネルとイワナ旅
                                        




 7月の7・8の土日を利用して
福井遠征を行った。なかなか休みが取れないこともあるが、やはり兵庫県から福井と岐阜の県境まではかなり距離があり、どうしても行く機会が少なくなってしまう。今回は、この機会を逸すれば次はいつになるかわからないので、少々無理をしてでも強行することにした。

 まずはお天気である。週間天気予報では、確実に
である。かろうじて日曜の午後から雨はおさまるとのことだが、それはもう帰路につく時間帯である。行くべきか行かざるべきかいろいろ思案をしていたが、直前にはなんと兵庫県南部地方に大雨警報が出たのである。もうこりゃどう考えても中止にすべきだが、まあアカンかったらアカンで、温泉三昧や永平寺参拝でもして、日頃から汚れきった体と心を清める旅にするのもええやないか・・・ということで、警報発令中に決行する。


 さて今回のメンバーは私とI氏、そしてM氏の3人である。以前中国山脈のとある滝巡りコースでご一緒したメンバーである。雨の降りしきる中、北陸自動車道を福井インターまで走る。コンビニで食料等を買い込んだ後、いよいよ山ごもりとなる。今回の釣り場は、
「酷道(国道)」として名高い157号線沿いにある。地図を広げれば一目瞭然だが、福井県の大野市から岐阜県に通じるこの国道沿いには、全く何もない。これほど何もない地図は他にはなかなか見あたらない。そしてかつては集落もあったようだが、度重なる水害や豪雪、あるいはダムの建設等で、村落全体が立ち退いてしまったそうである。今はその名残を残す地名しか残っていない。

 というわけで、真夜中にその道を走り、今夜のお宿(仮眠場所)を探す。普段の私の
車中泊仕様車なら、安全に停める場所さえあればそれで事足りる。だが今回はI氏の普通の車で、それも3人乗車である。また晴れてさえいれば、ブルーシートとシュラフにくるまり、アルコールで内部から暖めさえすれば心地よい眠りに陥ることが出来が、今日は生憎の雨である。それも警報発令中である。雨がしのげて体を横たえることが出来る場所・・・・。う〜ん、困った。なかなかそんな好都合な場所なんて、そう簡単に見つかるはずはない。

 知恵を絞った挙げ句、今夜のお宿はこの
酷道のトンネルに決めた。でもそうすんなりみんなが同意したわけではない。確かに直接雨はかからないが、この時期トンネル内はものすごい湿度で結露がひどく、完全にベチョベチョである。寝ころべば濡れてしまう。それにやはり国道である。いくらこんな山奥で深夜だとは言っても、交通量が皆無という訳ではないだろう。歩道を備えたトンネルがあることはあるが、1メートルに満たない幅で、寝返りをうって転べば車道である。寝ているうちにそのままあの世へ行ってしまうかもしれない。それに何より、トンネルという場所は怪奇現象が最も起こりやすい場所である。真っ白の顔をした女性がスーッと立っていたなんて話は数え切れないほどある。まあみんな半世紀を生きてきた連中なので、今更お化け幽霊もあったもんじゃないと人は言うかもしれないが、いくつになってもお化けは怖いものである。

「ホテル巣原トンネル」 にて

M氏 と I氏



 というわけで、灯火と歩道があり、お化けの出そうでないところ、そして釣り場に近いところということで、今夜のお宿は
「ホテル巣原トンネル」に決定した。中はカエルか鳥か、何かわからない生物がずっと鳴いている。なんとも不気味である。濡れた歩道にブルーシートを折りたたんで敷き、その中に銀マットを敷いてシュラフにくるまって寝る。今日のベッドメイクはいともたやすく仕上がった。もう3時である。缶ビールで宴会をして寝床につく。その際、無事目覚めますようにと、その場を清めるべく、少々のビールをトンネルの床に注ぐ・・・・。

 さて翌朝、何事も無く目を覚ます。どうやら眠っている間には一台も車は通らなかったようだ。短いながらも爆睡できた。幸いお化けさんも現れなかったようだ。(まあ爆睡していたから、気づかなかっただけかもしれないが。) 結露のせいか、シュラフも服も、何もかもしっとりと濡れていた。
 そして外は相変わらずの雨・・・。トンネルから見下ろした本流には、轟々と濁流が渦巻いている。この状態では釣りにはならないが、最後の望みをその支流に託して、山へ入る。たどり着くと予想通りそれほどの水量でもない。もちろん普段よりはかなり多いが、これぐらいなら釣りは可能である。

 そそくさと支度を済ませて、
第1投・・・・。のはずが、本来私の釣るべきはずの場所でI氏が竿を出している。I氏とは二手に別れて釣りをするはずだったのが、そちらは水量が多くて辿りつけなかったとのことで、私の釣り場の方へ戻ってきたそうだ。ところがなんとこれにアタリがあり、尺には満たないがかなりの大物が食らいついたのだ!


 今回の釣りは、これがすべてを物語っていた。その後、することなすことすべてが、このパターンにはまってしまったのだ。結果的に私も十数本のイワナを仕留めはしたが、
今回に限っては、数も型もI氏にしてやられた。まあたまにはこういう結果も仕方がないが、やはりけったくそ悪い。釣りは互いにほどほど釣れて、若干自分のほうが上回るぐらいが一番気分がいい(笑)。今まで散々そういった気分を味わってきたので、(逆に今まで散々I氏はこういった屈辱の気分を舐め尽くしてきたので・・・笑)、たまには神さんもそんな気分になったのだろう。というふうに、穏やかな気分で事態を受け止めていた。ああ、俺ってなんて人格ができているのだろうか(笑)。まあそういうことにしておこう。

少々水量は多いものの・・・・・

左のポイントからこのイワナが釣れました!



イワナを焼く@

イワナを焼くA

骨酒を片手に、ご満悦のM氏

今夜のお宿の看板です。



 結果的に、この日の夜も
「ホテル巣原トンネル」にお世話になった。トンネル内で盛大に宴会を催し、本日の釣果を肴に一杯やって、骨酒に舌鼓をうった。決して快適とは言いがたいが、今回の釣りは、このトンネルなしには成り立たなかったし、爆睡できたおかげで疲労も最小限に抑えられた。翌朝、二晩お世話になったお礼に、福井の名酒「一本義」を地に注いで、感謝の意を表して宿を立ち去った。どうやら3台の車が夜中に通りすぎたようである。トンネル内には轟々とした爆音が響き渡り、ふと目を覚ましてしまったのを記憶している。だが今夜もお化けは出なかった・・・・。

 



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