体力の限界? まだまだのつもりなんだけど・・・。

                                        




 この春から長男が大学生になり、遠く三重県で寮生活を送っている。自立するにはもってこいの環境だと考え、私も賛成した。他人さんの飯を食うことも、これからの人生の中で大きな財産になるに違いない。そして今では順調に自分の好きな学問に取り組み、好きな柔道を思いっきりやっているようである。

 ところがである。入学早々、さっそく怪我に見舞われてしまった。足首の骨折である。ちょっと骨が欠けた程度でたいしたことはないらしいが、ガチガチに固定されて松葉杖生活を強いられているようである。たしかに生活に不自由だろうが完全な一人暮らしではなく、きっちりと3食用意してもらえるので、まあ必要以上に心配することもないかと思っていた。他人さんからの親切が心に染みるという経験をするのも、一回り大きな人間になるには大切なことだろう。そして受けた恩をいつか返せるときが来たら、その時には倍にして返せばいい。人のためにではなく、自分自身のために。そんなことを思っていた矢先、息子からメールがきた。「GWに帰省するから、送り迎えを頼む。」と。「バカたれ、甘ったれるんじゃねぇ!!! 帰りたいのなら、松葉杖ついて電車で帰ってこい!」と返事してやった。


 そうこうしていると、悪友のI氏から釣りのお誘いがあった。近場の中国山地へ日帰りのイワナ釣りに行こうということで、二つ返事で決定する。そして前日深夜から車を飛ばし、夜明けから釣り始める。いつものようにどんどん釣り登るが、3つ目ぐらいのポイントで今シーズン初の釣果を得る。20センチほどの小ぶりのイワナが今年の第1号だった。その後もぽつぽつと同様のサイズが釣れて、そこそこ楽しませてもらう。そしていよいよ大場所にたどり着いた。ここではかつて尺イワナを初め、何度もいい思いをさせてもらったところである。今回も胸が高鳴った。そして気合いを込めて仕掛けを投入する。すると来た来た!今回も尺物か! 心臓がドキドキする。残念ながら尺には届かなかったが、9寸サイズの立派なイワナを手にすることが出来た。I氏はといえばあまり振るわず、ちっちゃなイワナを3本ほど釣っただけである。まあ腕の差というべきか、完全に私の方が数・型ともに上回っていた。

順調に釣り登る。釣果もまずまず・・・。


大場所の滝壺に挑むI氏。

私が仕留めた 9寸イワナ



 そしてこの大場所をあとにして、さらにこの滝を巻いて上流へ行く・・・はずであった。この言い方からもおわかりのだと思うが、私は行けなかったのである。というのはその滝を巻く為には、かなりの崖を登らねばならない。そこは岩盤の上を水が流れており、どこもがツルツルで、なかなかよじ登るのが困難であった。わずかばかりの凹みに手と足をかけ、思いっきり踏ん張って、やっと登れるのである。私は以前は平気で、この場所を登っていた。ところが今回は登れないのだ。唯一、足をかけられる場所まで膝があがらなくて、結局はズルズルと滑り落ちるばかりで、へたすりゃ一気に下まで滑落してしまう。何度も滑りながらこの足がもう少しあがれば・・・と歯がみをして悔しがったが、何度挑戦しても無理だった。

 このとき頭をかすめたのは息子のことであった。足が不自由なときは、どんなにつらく心細いことだろう。理屈や根性論で、きれいごとをどんなに並べたって、こればっかりはそういった状況におかれた者にしか、本当のつらさはわからないだろう。あぁ、息子に冷たくあたっちゃったなあ・・・と後悔した。おまけにI氏は難なくその崖をよじ登り、この滝上にあるパラダイスのような釣り場を存分に楽しんできたのである。事実ビクにぎっしりと良型のイワナを収めて、これ以上ない「どや顔」で私に見せびらかしたのであった・・・。「くそっ、釣りは腕じゃなく、場所なんや」と心の中で、負け惜しみを思いっきりほざく。

写真で見るとよくわからないけど、絶壁です。

豊かなひととき・・・・。



 帰ってからすぐ、息子に電話した。「GWにはゆっくり帰っておいでな。父さんが車で送り迎えしてあげるからね。」と。あまいオヤジやなあ・・・。  

                                                                          (2013.5.8)

 



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