2014年 釣りシーズン開幕

山陰の小河川にて
                                        




  毎年のことながら、渓流釣り師にとって3月1日は特別な日である。地域によって多少の違いはあるものの、関西ではおおかたの地域が渓流釣り解禁となる。年によっては大雪で釣りどころではない年もあるが、例年そわそわとした気分でこの日を待ちこがれている。今年の竿初めはどこへ繰り出そうかといろいろ思案したが、山陰のとある小河川に決定した。


 この川は漁業権が設定されていない川だから、遊漁料はいらない。人の手で放流されてはいないので、釣れたら天然物ではあるが、もちろん数は少ない。まあ竿初めなのでボウズは避けたいが、成魚放流されたばかりの養殖物を、場所争いをしてまで釣る気はない。まあ豊かな自然に触れて、川の神様にご挨拶できたらそれで良し。そんなつもりでこの川に行く。

 山陰地方だから本来はヤマメの川である。だがかつてアマゴを放流したらしく、どうやら両者が入り交じっているようだ。まあ世代交代が行われているならば、それはもう天然物と見なしてもいいだろう。かつて山の民が、魚止めの滝の上流や分水嶺を越えて移動させた魚があるようだが、それがすっかり定着した河川を私はいくつも知っている。そうなればもはやこれを天然物とみなすことに異議のある人も少ないだろう(科学者はどう言うか知らないが)。この川は、放流がそれよりちょっとだけ時代が手前なだけなので、私は同様に見なしてもいいと考えている。おまけにアマゴは旨い。渓流魚のなかでは一番旨いと思う。ということで、無料で旨い天然物のアマゴが釣れる川ということで決定。夜中に出発する。




 夜明け過ぎから釣り始める。今年は雪が少ないものの、やはり山には残っている。進むのはここが限界というところで車を止めてウェーダーに履き替え、雪中行軍に切り替える。沢に降り立ち、まず一投。まったくアタリはない。まあ一投目から釣れるなんて、それでは虫が良すぎる。次々とポイントを変えながら釣り登る。開始から1時間ほど、何の反応もないままに時間が過ぎ去る。ここぞというポイントでも反応はない。天然物相手だからこんなものだと思う反面、初釣りが何となくその年の状況を占いそうで、絶対にボウズだけは避けたい。


 少しずつ焦りが生じてきた頃、ツンツンとした反応があった。遂に来た!と勢いよく合わせて釣れたのは、アブラハヤだった。「確かにシャープなアマゴのアタリじゃなかったけどなあ。まあ仕方がない、さよなら・・・」と逃がしてやる。その後、時間は刻々と過ぎ去っていく。そして堰堤下の大場所へ。「ここで釣れなければ、今回はおそらくボウズにちがいない」と気合いを込めて餌を投入する。

残雪の渓流

ビクに収まったピカピカのアマゴ



 ピクピク、ツンツン…。非常にかすかなアタリを感じる。だが先ほどの嫌な思いが頭をよぎる。決してシャープとは言えない鈍いアタリ。そして釣り上げると・・・・。アマゴだ! でもアカゴ(赤子・あかちゃん)だった。10センチにも満たないちっちゃい魚で、当然リリース対象である。ところがそのちっちゃい口にどうやって飲み込んだのか、ずっぽりと完全に飲み込んでしまっている。喉元までというより、もう腹までといっていいぐらい完全に。私は基本的に大きめの針を使用している。小さい魚が食いつけないようにするためだ。そして食いついたとしても針掛かりが浅く、簡単にはずして逃がすことができるからだ。ということで、このでっかい針をここまで飲み込まれたら、もうどうしようもない。出来る限り丁寧に針をはずしたが、やはり努力はむなしく、この赤ちゃんアマゴはお亡くなりになってしまった。「今度生まれてくるときは魚に生まれてくるなよ」と成仏を祈ってビクに収める。持って帰ったら、罪滅ぼしに頭から尻尾まですべて食ってやろう。

シャープなヤマメ

綺麗なアマゴ

堰堤下の好ポイント

ハマチとアマゴ。  胃袋と心・・・・。



 その堰堤を乗り越え、次のポイントに向かう。そして投入した途端、待望のアタリ。当たった瞬間、これは間違いなく渓流魚のものだとわかる明確なアタリだった。そして釣れたのは、小振りながらもピカピカアマゴちゃん。これを待ってたんだよねぇ。今年の初物をじっくり眺め、そして感謝の気持ちを込めて撫で、ビクに収まってもらう。これをきっかけに、次から次へとアマゴ、ヤマメが釣れ続く。あのチビちゃんアマゴをきっかけに、とっても気持ちのいい釣りができた。10匹近くの魚がビクに収まる。


 終了後、山から町に降りて行きつけの魚屋さんに立ち寄る。この店は小さいながらも日本海の新鮮な幸を仕入れてくるので、ちょくちょく立ち寄っている。今日は刺身用のいいハマチがあがっていた。なんと一本350円である。土産用に5本ほど仕入れて帰る。アマゴとハマチ・・・。コストや味、家族の喜び具合などには雲泥の差があるが、胃袋を充たす魚心を充たす魚・・・・。まあその値打ちは、各自がそれぞれの思いで決めたらいいものだろう。今夜はハマチの刺身で一杯、明日はアマゴの塩焼きで一杯、至福のひとときが楽しみである。やっぱり釣りはやめられまへんなあ。
                                                           (2014.3.7)

 



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