親子で渓流釣り




 春分の日に一人暮らしの息子が帰省することになった。目的は墓参りということだが、この休みを利用して釣りに連れて行ってほしいとのことであった。彼岸の中日に釣りなんて殺生は言語道断だが、今の時代にそんな迷信じみたことを言うわけにもいかないので、望みを叶えてやることにする。というよりこれを口実に、またまた釣りに行けるのだ。今シーズンの滑り出しは順調である。


 息子は何度か海釣りに連れて行ったので、サヨリアジを釣ったことはあるが、本格的な渓流釣りはまったく初めてである。装備はシンプルなのだが、やはり渓流彷徨はキケンを伴うので、子供の時には連れて行ったことはない。だがその息子ももう二十歳。体力的にも運動能力的にも今の私より優れているのは確かである。そのうえ中学から始めた柔道を大学生の今でも続けているので、万が一が出てきても、得意の背負投で撃退できるだろう・・・。まあ、それはないか(笑)。

 今回の釣行場所は、近場で遡行しやすい渓流である。まあここなら初心者でも、まず事故はないだろうし、釣れれば渓流の女王アマゴちゃん、それも天然物が飛び出すとっておきの渓である。そこを息子の初釣りの場所に決めた。自分もそうだが、最初にイワナを釣った渓のことは鮮明に覚えている。渓の豊かさと渓流魚の美しさは、嫌でも記憶に染み付くものだ。さて、我が息子の記憶に留まるようなアマゴは釣れてくれるでしょうか・・・・。

初めての渓流釣り

岩の陰から竿を出す。



 まずは川べりに立ち、仕掛けをセットする。針を結ぶどころか、糸と糸さえ結べない初心者である。さらには生きた虫に針を刺すのさえ、抵抗を感じている。だから全てを準備して与えた上で、竿を出させる。しばらくすると、「うわっ、来た!」と叫んでいる。そして釣り上げたのはちっちゃなアブラハヤであった。サヨリ釣りに釣れていったときは、最初にフグを釣った。アジ釣りに行った時には、名前も知らないブサイクな小魚を釣り上げた。今回もまた同様で、そういう意味では、我が息子はほんと期待を裏切らない奴だ。だがそのおかげで、次のポイントでは私がこうやってポイント攻めるのだとお手本を示すと、なんと本当にアマゴが釣れたのである。なんともまあ、絵に描いたようなとはこのことようなことを言うのか。親父として、人生の先輩として、そして何より、渓流釣りの師匠としての面目大躍如である!(笑)。 息子は羨望と尊敬のまなざしで、親父を見つめていた(ほんまかいな?)


 これでオヤジのメンツは立ったが、さて、肝心なのは息子にたとえ1匹でも釣らせてやることである。遡行するにつれて次々に現れるポイントで、その攻略法をアドバイスする。そしてついにその瞬間がやって来ました! なんと20センチ超えのピカピカのアマゴを釣り上げたのだ。結果的に本日最長寸となるアマゴが、息子にとっては人生初の釣果になった。めでたしめでたし。

息子の初釣果

ピカピカのアマゴちゃん


このポイントで釣りました。

塩焼きで頂きました。



 その後、釣り落とした魚もいるし、ちっちゃくてリリースしてやった魚もおり、ひと通りのことを経験した。そしてもう1匹、そこそこのサイズのアマゴを釣って納竿とした。私も3匹ほど釣り、自分自身も十分楽しむことができた。

 そしてその釣果は、塩焼きにしていただいた。なんともまあ、理想的な展開になったものだ。

 ある講演会で聞いた言葉であるが、いまふと思い出して、それをかみしめていた。「子供は親の言うことを聞かない。親のすることを真似する。」 うーん、含蓄のある言葉である。決して教えたり勧めたわけではないが、いつの間にやら子供は親と同じことをするようになっている。きっとそれはいいことも悪いことも、その両方ともであろう。言葉で上から目線で教えるよりも、自らが行動で示していくこと、これが至上の教育なのかもしれない。そして親は、真似されて恥じ入ることがないようにしなければならないが、これは付け焼き刃や一朝一夕にできるものではない。日々の生き方が何よりも大切なのだ。うーん、難しい、身が引き締まる思いだ・・・・。

 とうことで、真似られても恥じ入ることがないように、釣りの腕を磨かなければならない。これを機にせっせと釣行を重ねよう、と決意を新たにしたのであった。(なんちゅうオチや・・・・笑)




戻 る

 

トップに戻る


釣れても
釣れなくても

ツーリングクラブ
【男神】

酒 と 肴

  自転車に乗って

おっちゃんの独り言