2019(平成31) 平成最後の解禁釣行

                                        





 「あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。」渓流釣師なら誰もが川の神様にそう挨拶したくなるほど、解禁日は待ち遠しいものである。私も例に漏れず、首を長〜くして3月1日を待っていた。ところがここ数年、そのあたりには忙しい仕事が集中し、なかなか思うように行ける余裕が無かった。おまけに今年は次男が大学入試を控え、否が応でも我が家の空気は重苦しく緊張し、のんびり釣りの話題など出そうものなら、鬼嫁をはじめ家族全員から白い目で睨まれるのはもう疑う余地もない。ということで今年も解禁釣行をなかばあきらめていたが、その息子の卒業式が3月1日でそれには出席するものの、その翌日の土曜日がたまたまポッカリ空白になったのである。たまたまではあるが、これはもう行くしかない。3月2日(土)に一日遅れの解禁釣行に行くことにした。


 当日の天気は快晴で、絶好の釣り日和である。目指すは兵庫県の、とあるヒミツの川である。ここは漁業権も設定されていなくて、釣れれば天然物である。それも早春には最も似つかわしい、キラキラと輝く朱点鮮やかなアマゴちゃんが生息している。おまけに雪も少ないところだから、春先には一番釣りやすい。ただ非常に小規模な河川なので、大勢の釣り人が押し寄せたらあっという間に荒廃してしまいそうな脆弱な環境である。そのため私だけのヒミツの川にしている。


 まずは第1投。なんの反応もない。次のポイントへ移動する。2投目。すぐさまぴくぴくとした反応がある。やったね、本年度第1号は・・・。なんと5センチほどの赤ちゃんアマゴが、目一杯口を開いてエサをほおばっている。なんともまあ無邪気なアマゴである。子犬と同様、ちっちゃければちっちゃいほど可憐で可愛らしい。そしてピカピカしていて美しい。よくぞまあ来てくれたねとは思うけど、私の釣りの基本は「釣った魚はみな食べる。食べない魚は一切釣らない」である。このアマゴを魚籠にキープすればまさに虐待そのものであり、頭からバリバリかぶりつくなんて想像しただけでもおぞましい。大きくなって来年また釣れてくれよと願いを込めて、そっと川に戻す。

 ところが次から次へと、釣れてくるのは同じようなサイズのものばかり。坊主逃れのために思わずキープしようかと思った瞬間もあったが、一応私も子供の成長を願う親である。せめて高校を卒業するぐらいまでは、優しく見守らないとね。魚にも同様の思いを込めてリリースする。


 しばらくして、かろうじてキープしてもいいのではないかと思えるのが釣れた。といっても決して塩焼きサイズではなく、唐揚げサイズである。でもまあこれぐらいの方が唐揚げにしたら頭からバリバリかぶりつける。ということで、私の魚籠に収まってもらった。本年度第1号である。

2019年度 第1号

この流れから姿を現しました。



 その後は順調に釣れて、春先の解禁釣行を感じさせる清々しい釣りになった。大物は出なかったが、唐揚げや天ぷらには最適のサイズばかりである。春の陽気を感じさせる日差しの中で、「渓流の宝石」「渓流の女王」と呼ばれるアマゴが乱舞する。苔むす岩場と清冽な流れ・・・。贅沢な時間と空間を一人で過ごす。

渓流の女王様!

渓の宝石・・・・。


 そして本日最大のポイントにさしかかる。きっと一番の大物が潜んでいるだろう。そっと仕掛けを投入する。来たっ!ところが空振りに終わる。おまけに気負いすぎたために大合わせの反動で、上の木の枝に仕掛けが絡まってしまった。いそいで仕掛けを作り直し、再びそのポイントへ。ところが今度は川底に潜んでいた木の枝にひっかかり、あえなく切れてしまう。

 なんともまあついてない。再び仕掛けを作り直し、今度こそ今日一番の大物を釣り上げてやる!と気合いを入れて投入する。先ほどの度重なる失敗で魚に気づかれてないかが心配だが、竿先と手元に神経を集中してアタリを待つ。するとキタキタキタ〜〜強烈なアタリ! なりふり構わず大合わせをして抜きあげると・・・・なんと巨大なアブラハヤだった。たしかにアマゴなら、前の2度のミスの後に食いつくなんていう馬鹿なマネはしないだろうね。なんともまあ、笑ってしまうようなオチがついた。

大岩のむこうにある絶好のポイントには・・・。



 帰って嫁さんに唐揚げにしてもらったところ、我が家の家族はみんな頭からバリバリかぶりつき、まったく何も残さずきれいに胃袋に収めてしまった。ほんと実りのある解禁釣行である。 
                                            (2019.03.04)

 



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